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さて、ついうっかりと不敬を働いてしまったようだが、先に妹に手を出したのはあちらだ。

でも、とりあえず関係各位に状況説明をと〈デーデ〉を飛ばした。〈デーデ〉は鳥だ。ハトに似ているが、もっと賢くて、攻撃力がある。タカのような猛禽類と互角でやりあってるのを見た時にはさすがに驚いたが。いわゆる伝書鳩だと思えば近いけど、手紙を渡したい相手を思うだけで、場所は〈デーデ〉が探してくれる。もしかしたら、魔物に近い鳥なのかもしれない。

ウチの近く、と言っても王都からちょっと出た森に住んでいるんだ。我が家に伝わる喚び笛を吹くと来てくれてお使いしてくれる。時々、我が家がなんか異常な気もするが、気のせいということにしている。考えたらきっと負け。

情報社会ならぬこの世界で、超狭い生活圏で22年を過ごしてきた私の基準は主に家族だ。交友関係も狭いしな。今、一番親しい親戚関係のない人というとリース商会の剣士さんと魔術師さんだし。次は第3騎士団の騎士たちかなぁ。子供の頃の数少ない友達(当然、同性)はほとんど結婚して子供もいてなんで、会う機会は少ない。


話は逸れたが、その連絡はもちろん妹の手当てが済んでからのことである。妹より優先する事項など無い。同じことを兄の口から聞いた記憶がうっすらあるが気のせいだろう。


『お姉ちゃん、あの服、ドレスみたいにキレイだったね』

着ていたのが王女(仮)だからな。ってか、ブランシュ……顔を見てないのか?私の人物認識には問題があるんだが、大丈夫かなぁ。

王女かどうか決め手に欠けてるんだよね。似てる気もするけど……


『マリちゃん、王女様が来たって本当?』

勇者が現れた。

「なんで知ってる?」

『ご近所さんから聞いたよ』

そういえば、コイツは王女の顔を知ってるんだな。

「王女で間違いないか?」

『僕は会ってないからわからないよ。どんな人だった?』

「……ええと…目が2つ、鼻が一つ、口が一つあって…」

『髪の毛は?』

「…金髪だったような…茶色だったような…黒髪だったような…」

『マリちゃん、それ全部違う色だよ』

簡単に言うと全く覚えてない。


『近所の人の話の特徴は王女様だったよ』

じゃ、そういうことで。

『キレイな水色の服着てたよ。こんな感じの』

妹が王女(仮)が着ていたワンピースをさらさらと描いた。

そんなんだったっけかな、記憶に無いんだよね。もう一度見たら思い出すかもしれん。思い出さないかもしれん。


『あ、それ!王女様のお忍び服!』

よしっ。王女確定で。

勇者、お前の役目は終わった。帰れ。

そもそも、妹のケガはお前が来るからじゃないか。二度と来るな!


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