表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
163/235

160

第3騎士団本部でお茶を出されたりして、引き留められた後、叔母が迎えに来てくれて解放された。

そのまま、叔母の家に拉致られ、飲み会。カスレから戻った後、叔母のところに顔を出していなかった。久しぶりである。叔母のところは子供が2人。従姉は貿易に行ってるし、従兄はカスレ在住だから寂しいんだろう。

そういえば…

「従姉さんが魔物が出るようなところを通るのに護衛につかなかったの?」

ポール義従兄さんに声をかけたら苦笑いを返された。

『修行中の身ですから』

『夫婦で出掛けようなんて一人前になってからよ』

真面目な顔をしている義従兄と、すっかり酔っ払って悪そうな笑顔の叔母。力関係は一目瞭然だ。

「でもさ、優秀な護衛が居なくてロッティ従姉(ねえ)が亡くなったらどうすんの?」

叔母に聞いてみた。相手は酔っ払いだがな。

『そん時はそん時。悪運が強くなきゃ商売もできないわよ』

って豪快に笑うか。さすがだ。

「クロード従兄(にい)を呼び戻すとか?」

『何言ってんの。ウチの3番目はボンクラクロードより遥かに優秀だよ』

もしもし?貴女が産んだの2人でしょ。3番目なんて居ないじゃん。しかもクロード従兄はカスレを任せられるくらいは優秀だし…

「えーと…ポール義従兄?」

『こんな半人前に任せられるほどリース商会は弱小じゃない』

確かに冒険者上がりの見習い中だけど、そこまではっきりキッパリ言わなくても…。義従兄すっかりしょげてるよ。

脳筋じゃ商売は難しいけどね。腹芸の一つや二つ……ヤバい。勇者と義従兄が腹踊りするビジョンが頭に浮かんだよ。


『3番目は勇者様を手の平で踊らす賢者様さ』

……勇者を手玉にとる賢者……あ…冬服出したら毛玉ついてるか確認しなきゃ、虫食いがあるとヤダな……じゃない。もしかして、もしかして、3番目って私のこと?賢者って私の徒名だって聞いたんだけど。

従姉の言う『妹』ってそういう意味なの?いざという時の跡継ぎ候補?そりゃあウチは一応4人兄弟だし、1人くらいって思うのもわかるけどね。誰一人として配偶者はおろかその候補も居ないの。継ぐものも父の店……台所用品店だけだし…クチコミネットワークもあるか…クチコミネットワークと言えば、吟遊詩人の情報網もどうすんのかな。あの人もいい歳して子供もパートナーも居ない。王都に閉じこもってばかりじゃなくて一緒に旅しようって誘われたこともあるくらいだから、一緒に旅する友人知人もいないんじゃん。親戚付き合いも薄いし……血のつながりがあって付き合ってるのってウチくらいじゃないかと。とんだダメ人間だよ。人のことを言えるほど付き合いないけど………。


兄は騎士、弟は農業の道に進んだから、父の店を継ぐのは私か妹になるだろう。


『跡継ぎ候補の1人として早くウチに入って来な』

「ヤです」

面倒事はキッパリはっきり断るが吉だ。それが勇者からであろうと叔母であろうと。

そうそう、勇者は王宮だ。第3騎士団の団長と一緒に報告に行った。

。家に着くまでが護衛と言い切った2人は第3騎士団本部で契約終了となった。で、今も一緒に飲み会に参加してるってことはマジに家まで送る気か…。

王都なら護衛とか要らない。自分が一部から注目の的なのは知ってるけどね。基本的に自由人だから。あれ?もしかしたらダメ人間の吟遊詩人な伯父よりタチの悪いダメ人間かも。あの人はあの人で稼いでいるのは知ってる。歌もリュートも見事だし、どんなお話も愛と感動に溢れさすのも才能だな。それは認める。定住を嫌うのがなければ……定住したら、吟遊詩人にはならないか。舞台作家だけで食うのは大変だし、放浪で得た情報も売り始めたのはよくわかる。王都だけの情報網なら父の方が上だが…って、そういう家系でもあるのかな。

家事を一手に引き受けてるとはいえ、傍目には定職に着いてないとこが一緒だってとこが微妙なんだよね。


『ロッティが表のトップで、マリアンヌが裏のトップでもいいわね』

もしもし?断ったのは無視かよ。

なんだかんだと人の話を聞かないとこが勇者と似てるわ。だから相性がいいのかな。

『マリアンヌの旦那が勇者なら向かうところ敵無しだし…』

それ、捕らぬタヌキの皮算用じゃん。

とりあえず、私は結婚する気は無いし、まして勇者なんて色んな意味でウザいのはまっぴらごめんだ。


勇者、ちょうど王宮に行ってるじゃん。そのまま王女と仲良しこよしして……二度と戻って来るな!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ