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冬も近い。渓谷の魔物はだいぶ減ったらしい。キメラの魔物は何体か倒して、勇者がバッグに入れて保管しているらしい。騎士団の役割は王都の魔物研究者に届けてお終い。

絶対数がかなり減った今、さらにキメラが増えるかどうかは未知数で、次回には研究者も含めて来るそうだ。うん、これ以上は一般人には知らせないってことだね。

だからその時には勇者は不要だから、私も来る必要がない。もう二度と来るもんか。………次に来ることになったら、そのまま国境超えたるわ。


勇者が討伐の行き帰りに拾ってきてくれたので、栗はいっぱいになった。ドングリその他の木の実も順調に集まっている。

猪やクマ、鹿……肉好きな弟への土産も充分だ。

傷みやすいものは全部、勇者のバッグ行き。科学的に納得はいかないが便利だ。知り合いに研究してもらうかなぁ。面倒くさそうで自分でやるのはイヤだ。しかも結論が『科学では説明つきませんでした』とかになると復活できそうもない。

結局のところ、なぜそうなるかが理論的に説明のつかない事象はキライってことだ。

理屈がつけば魔法だろうと許容しよう。この辺が私に魔力がないポイントなんだと思う。信じてないもん。使えるわけない。


「あのー、そろそろ帰り始めないと我が家の冬支度が間に合わないんですが…」

冬になる前に薪割りしたり、庭に野菜を埋めたり、干し肉を買い込んだり、色々やることがあるのよ。ウチ揃いも揃って魔力に乏しいんで、野菜は土の中に埋めて一定温度に保たれることを期待してる。倉庫だと凍ることあるしね。

今年は豆を貰ってもやしを作ってみようかと思ってるんだ。野菜が極端に減る冬場のビタミン確保は難しい。発芽する時に熱も出すから暖房にも一役買う…かも。部屋がもやし臭くなりそうだけど。


『薪割りなら人員を出そう』

って騎士団長様っ、まさか騎士様たちが庶民のウチの薪割りを請け負うとか怖いことをおっしゃっていませんよね。

なぜだか、丁寧な言葉になった。マジ勘弁して。最近、ウチの近所が騎士様遭遇率が高いって肉食系女子の間で評判なんだから。玉の輿狙いだよ。身分違いなんて苦労しかないのに無駄に夢見る乙女たちが闊歩してるの、弟も目撃してたよ。あからさまにガッカリされたって。弟だって夢見る年頃なのに……あれ、そろそろ現実を見る年齢だな。兄のせいで年頃の異性が誰も近寄らなくなった私とは違う。あんなにかわいいのに不思議だ。騎士じゃなくてもちゃんと稼いでるし、ちょっとバトルジャンキーなところがあるけど………えっと……きっと悪くないかと……バトルジャンキーだとモテないとか。Nが1だと判断つかない。

むしろ、N数4の内3人が引っかかる、ウチの兄弟はモテないの方が信憑性がある気が…気のせいだな。どちらにしろサンプルが少なすぎる。



「薪割りくらい自分でできます」

むしろ軽い体力作りだ。

「それより妹に会いたいんです」

必殺泣き落としで。


ん?誰だ。

私でも泣くことがあるんだって言ったの?

特製ドングリクッキー食わすぞ。

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