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集落に戻って勇者がクマを出すと歓声が上がった。

『またクマ倒したっすか?』

違うっ!得物が棒一本でクマを倒せるはずないだろ。猪は倒し……この記憶は早めに消去の方針で行こう。意識に上らすのは極力さけて……使わない記憶は忘れやすいはず。


『今度は僕です』

勇者が手を挙げた。

『たまにはマリちゃんにかっこいいとこ見せないと』

クマが左手を使ったとこなら見た。ってか、こんなにクマが頻出するなんて危険じゃない。そういうところに町娘を…………そういえば集落からの外出禁止出てたな。つまりはそういうことか。騎士たちに比べ明確に持久力に欠ける私はおとなしくしていなけりゃならないんだな。うん、とりあえず食事の支度でも手伝おう。

明日には勇者と騎士団長がまた出るのかな?安全性を考えると集落の中でおとなしくしているべきか。洗濯とか手伝いたいけど、川まで降りなきゃいけないからダメだな。なんか料理でも作るか。得意なのは野菜や豆のスープだけど、しばらくは肉料理みたいだ。

そこらに生えてるものを使って勝手に何か作るかな。王都で勇者が色々買い込んでいたみたいだから、今日中に使えそうな食材をゲットしよう。

集落の端の方にドングリ落ちてたな。クッキーでも作ってみるか。試食してくれる人は居そうだ。

覚えているのは、手軽な乳化のマヨネーズとサバイバル風縄文クッキーとは、前世の記憶は使えるような使えないような感じ。あ、カルメ焼き思い出した。もしかして、コレって『親子で身近な科学体験~料理編~』の私の担当か。縄文クッキーはオマケでやろうと思って科学要素が増やせなくてボツったやつだ。単にドングリが気になってやりたかっただけなんだ。そこを突かれて諦めなきゃいけなかったやつ…。ああ、おかしいと思ったよ。私が料理を覚えてるなんて。仕事じゃないか。


『マリちゃん。僕の居ない間にお菓子作ろうなんてズルい』

ドングリを拾い集めていると勇者がやってきた。

「あく抜きがあるから、戻ってくる頃にちょうど焼くと思う」

『ヤッター!材料何が必要?何でも出すよ』

「チーズとレバーペーストとバターと…」

『えっ、レバーペーストも入れるの?』

「いや、単に無くなりそうだから」

『…チーズは?』

「食べたいなと思って。蜂蜜を使うから多めにね」

『お菓子に?』

「お菓子にも使う。それとチーズにかけて食べようかと……チーズの種類によるかな…あ、そういえば、リンデン持ってない?」

『マリちゃんのいつものお茶ならエリックに渡されたよ』

「早く言ってよ。無くて寂しい思いをしてたんだから。我が弟ながら気が利く。クマ肉をお土産にしたいから、少し残しといてね」

やっぱり弟は可愛い。

『…マリちゃん。その笑顔…たまには僕に向けて…』

「なんで?」

それより早くお茶出して。


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