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とりあえず、建物の外に出る時には用心棒を持つことにした。閉じこもっていたくないし、食事は騎士団が外で作ってるのでその手伝いとか、毎日のお見送りとか外出する機会はいくらでもある。

魔物が出るなんて怖いって可愛く言ったら、冷たい視線の集中砲火を浴びたのが不思議だ。やっぱり騎士団長が居なくなった途端に猪狩りをやりたがったせいだろうか。これでも町娘歴22年の乙女なのに失礼だな。

待てよ。乳幼児期は娘に入らんだろう。何年計上すればいいのかな。気にするのはソコかというツッコミは敢えて受け付けない。言葉の定義というのは大切である。………日常の言葉は通じればいいだけだけどな。そういえば、勇者の言葉で時たまわからないものがあるが、あれは平行世界が違うせいなのか、時代の差か、はたまたジェネレーションギャップなのか………きっと勇者だからだろう。考察終了。証明できないし、無視で。今までも困らなかったし。


そろそろ第1陣が帰ってくる日、集落に居る人数が減っていたし、決して多くは無いが残飯が出ていてその匂いに釣られたのだろう。ガサガサと音のする方に視線を向けたら猪と目が合った。

少し離れたところにいた剣士さんが慌ててこちらに向かうより猪の突進の方が早かった。

猪が倒れたのは私が立っていた位置からさらに数m先で、さすがに重量物がスピードを出していた場合、すぐには倒れないんだなと慣性の法則を再認識した。直前まで加速してたしな。

剣士さんの叫び声と猪が倒れた時の地響きで騎士たちが集まって来た。私、走り寄ってくる剣士さん、倒れてる猪と視線が巡り、また私に戻ってくるのを感じた。こういう時は、どうリアクションしたらいいんだろうか。

可愛く「びっくりしちゃいました」とかではダメかな。手にした棒にちょっとだけ赤いものが付いてるけど、びっくりして猪倒したはオッケー?


『マリちゃん!ただいまーっ』

ちょうどいい。うやむやにしよう。返り血を浴びたようなすごい格好だけど、勇者はあくまで勇者だった。

「おかえりー。どうだった?」会話を盛り上げてごまかしたるぜ。

『干し貝柱おいしかったよ』

はい?

魔物狩りの感想とはかけ離れた勇者の言葉にさすがの私もリアクションを取りかねた。

『リース商会から新たに納入されたんだって』

谷に向かうと貰えるんだよって幸せそうに笑う勇者をこの棒でど突きたくなってきた。

それにしてもこの状況で黙々と猪を解体している騎士団長はスゴいと思う。尊敬するわ。

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