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「そこから2日ですか?歩きですね」
面倒くさいが顔に出たかもしれない。
騎士団長は困ったような顔をした。
『実はそこで待っていて頂けないかと…。建物は夜露を凌げるように手は入れさせておりますので』
あ、最初っからその予定でしたか。出発前に言うとあばら屋だからイヤって言われないようにだね。もう村まで引き返せないし、野営よりマシだよね、だからよろしくって…………ラッキー♪
「そこでゆっくり皆さんのお帰りを待っていればいいんですね」
ヤバい。自由に過ごせるって思ったら超~笑顔になっちゃう。
『警護の方は一緒に残りますし、騎士団の方からも何人か残ります』
騎士団居ない方が楽なんだけど…
『食事は心配要りません。馬の面倒も騎士団の方でみるので、ゆっくりして頂ければ……』
いや、食事の心配してないし…何とかなるし…………馬の世話はできないな……
「わっかりました」
まったり狩りしたり、スープ作ったり、木の実収穫したりしてよう。
そうと決まれば…
「行きましょう♪」
『マリちゃん。何か楽しそうだね。いいことあった?』
うん。お前と別行動だよ。楽しみだな。片道2日ってことは少なくとも4日は顔を見なくて済むってことで、料理も腕の奮いがいがあるってもんだ。スープしか作る気ないが。
到着したのは見事な廃屋がこじんまりと並ぶ山あいの集落だった。ログハウスっちゃログハウスなんだけど、苔むしてるし、動物の噛みとか爪痕みたいなのあるのとか。レンガ造りなんだけど、半分以上蔦に覆われてるとか。屋根に草が生えてるやつはオシャレかエコロジーってことでいいかな。これらはマシな方で、真新しいドアが付いたログハウスは……床を水平する、壁を垂直にするという概念を無視した造り…要するに傾いていた。水平器もないし水平を出すのは大変かもしんないけど、錘付けて糸を垂らせば垂直は簡単に出るだろってツッコミたくなるけど、もしかしたら動物にやられたか地盤のせいかもしれん。
ああ、魔物がここまで来ることもあった可能性もあるな。
私たちはレンガの家に案内された。狼が来ても吹き飛ばされないし、体当たりでも大丈夫だし安心だね。こんなに獣の出没しそうなところで藁の家があったら笑える。藁の家じゃ子豚は守れない。
そういえば、やたらと通気性の良さそうな木造の建物があったがあれは馬小屋か。立地的に旅人もこの集落で休んだろうな………あれ、倒れかかってたよね。そのまま利用すんだろうか。と、思ってたら翌日には修理終わったわ。で、本隊到着と入れ替わりで修理にあたってた冒険者が村に降りて行った。先行部隊と共に来て、本陣?を整えていたらしい。これから何日ここでやるかわかんないから村との間を往復して食料とかを運んでくるんだって。護衛も道案内も要らないから便利とのこと。だったら、掃討作戦にも入って貰えばいいんじゃないかと思ったら依頼料が上がるからダメって言うんで苦笑い。危険手当ては高いか。ああ、それで私もここで足止めなんだな。危険だし、護衛の2人の契約の関係か。こういう計算って面倒だよね。まあ、知ったことないし、騎士団長居なくなったら好き勝手しよ♪




