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『マリアンヌさん大丈夫ですか?』

剣士さんの声がすぐ後ろから聞こえる。密着してるから当然か。馬車を置いて馬の旅になって3日目。そろそろ限界。いつもと違う筋肉使うから身体のあちこちが痛い。

「筋肉痛だけど、大丈夫」

往復が終わる頃には筋肉も慣れるかな。

ちなみに、勇者はロバに乗ってる。馬車につないでいた馬は魔術師さんと剣士さんがさっさと取ってしまって、勇者の分が無くなったんだ。御者を勤めていた騎手さんは村で留守番。なんかあった時の連絡係らしい。

現地で勇者用の馬を調達できなくて、ロバになったんだ。ロバの方が背が低いから乗りやすいし、落ちた時を考えるとな。いくら不死とはいえ、いざという時に使えないと困る。……と言うわけで風車はどこだ。


しかし、こんな山道を馬で行くって結構大変だな。揺れるし、揺れるし……

『筋肉痛なのに寝てられるんですか?』

あれ…?いつ寝たかな。

「寝てました?」

『騎乗しながら熟睡するほどだからよっぽど疲れてるんじゃないかと心配で』

どこでもいつでも眠れる体質が災いしたらしい。余計な心配をかけたみたいだ。

力抜けるからバレバレだよね。

「特技です」

宣言した。こういう時は変に隠したりしないで晒すのが勝ち。「どんな時でも寝られます」

マジヤバい状況に陥ったら何日間か寝ない代わりに、寝られるとなればどんな環境でもって父の言葉は問題発言だと思うので黙っている。

実際のとこマジヤバい状況ならアドレナリン出まくりだから寝れないと思う。

それにしても戦闘狂の先祖が3日3晩敵をバッタバッタとなぎ倒し続けたなんて……化けもんだろ。じゃなきゃ、誇張。口伝のうちに話が大きくなったに違いない。講釈師、見てきたような嘘を…ってやつだろ。

それを真に受けて子供に講釈を垂れる父も父だ。

あ…店番どうしてるかな。ギルドの会議ある日の店番は私なのにこんなに長期に外出しちゃったら困るじゃん。臨時に店番雇う時のメリットデメリットを考えると、臨時休業とどっちが…父の判断に任せるしかないか。しかし、いつまでもこんな生活だと困る。おとなしくしてようと思ってたけど、あんまり好き勝手されるなら、自衛しないとな。大事にしたく無かったが、そろそろ動くべきか。勇者が飽きてくれたらそれで済むんだけど。やっぱり王女と結婚させるのが一番だよな。国として私に関わる必要が無くなる。


少し広く開いたところで休憩になった。比較的なだらかとはいえ山道だから馬の負担が厳しいらしい。

騎士団長が近づいてきた。

『大丈夫ですか?次は私が担当します』

馬が保たないからと休憩ごとに私を乗せる係は交代する。ロバの牽いた荷車に乗ることもあるが、コレはコレで乗り心地最悪。斜面を荷台に乗せられて路面の凹凸に合わせてガタゴト揺らされるのなんて拷問だよ。車輪がハマって大きく傾いて投げ出された時には泣きそうになったよ。無事に着地したら、周囲の目が痛かった。

その点、剣士さんとの相乗りは密着しても問題なくて熟睡でき………いや、何でもない。

騎士の方々と密着しすぎると色々問題がある。ってか、こんなんなら自力で歩いた方がマシ。どうせ山道だから馬だってゆっくりなんだからさ。馬に負担がかかるだの何だの言うなら皆で引いて歩けばいいじゃん。

ってか、村に置いてきた方が良かったんだと思う。


『今晩から何日か集落だったところに泊まりますが、そこから先は歩きになります』

やっぱりムリなんじゃん。何で馬連れてきたかな。


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