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半日遅れの昼過ぎに出発した。お昼はクマ〈カレー〉だった。私はチーズとパンで軽く済ませた。

普段昼食をとる生活をしてないから昼間の大量摂取に慣れない。騎士団も勇者も毎回の食事量がハンパない。付き合わされたら確実に太る。

今回はちゃんと運動するようにしたからいいけど、こんなんに何回も付き合わされたら困る。妹に会えないのツラいし、ウチのハーブの世話も心配だ。

ハーブと言えば、お気に入りのリンデン持ってくれば良かった。ハーブティーって言っても種類あるし好みのが飲みたいじゃんね。

勇者によると紅茶もあるらしい。見たことない。庶民には関係ないところに存在しているんだろう。どちらにしろ私の好きなのはリンデンティーなんでどうでもいい。うん、忘れよう。


今日の昼食は宿で済ませたので、当然狩りも無し。昨日泊まる予定だったところに向かうのみ。


ってか、クマ狩りしちゃったんでウサギはどうでもいいや。それに、山道に入ったら狩りしそうだ。持ち運べる食べ物には限りはあるし、現地調達しなきゃなんないだろう。



『マリちゃん!クマ食べなかったってなんで?マリちゃんが捕ったんじゃん!』

馬車の中で勇者が騒ぐ。

「たまたま矢が当たっただけで、食べたかったわけじゃない」

『ええっ!クマカレーおいしかったよ。もったいないじゃん』

「辛いの苦手って何回も言ったよね」

『あ、そうだった。カレー嫌いな人は居ないって思ってたから、どうしても忘れちゃうんだよ』

「全員が好きとかないから。味覚や好みが違うんだから、全てが一致するとかあり得ない」

『いや、全員が好きなものはあります!』

勇者が意地になったように言い返してきた。

「それは何だ?言ってみろ」

全員が好きを証明するのはムリ。こちらは反証1例あれば覆せる。

『……肉?』

『私の友達は肉が苦手です』

剣士さんナイスツッコミ!

『リンゴ?』

「友達が歯ごたえがイヤだって言ってた」

『チョコレート』

『何ですか、それ?』

『女の子はみんな好きなんだよ』

『知らない』

魔術師さんも加わった。ってか勇者、王宮レベルのものは確実にアウトだよ。見たことないものは好きも嫌いもない。

『マヨネーズ』

「広まってないし」

『カツ丼』

「異世界の料理だよな。しかも肉は既に否定されてる」

『えっ、肉料理全滅っ!?』

勇者の驚いた声に頷いた。

『………お寿司?』

「王都では生魚を食べる習慣無いし、米見つかってないし、そもそも異世界の料理だよな」

『マリアンヌさん、異世界の料理に詳しいですね』

「毎日のように『食べたい』と聞かされてます」

『…お疲れ様です』


『…ま、豆のスープ…』

肉じゃなくてとつぶやいていた勇者が小声で言った。

「お前がそんなに好きじゃないだろうがっ!」

『好きになる!』

はい、はい、はい。豆のスープを好きになるんでも、海賊王になるんでもお好きにどうぞ。

何の解決にもなんないがな。


『食べ物の話をしてたらお腹空いちゃった。夕飯は何だろうね』

知るかっ!

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