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青白い顔で固まった私に周囲は慌てた。


『マリちゃん?』

『マリアンヌ嬢、大丈夫ですか?』

『マリアンヌさん!どうしました?コレ駄目でしたか?』


「…大丈夫」

過去のイヤな思い出は自分で乗り越えるしかない。子供の頃と違って筋力はあるし、反動で倒れるハズもない。使えればミッションクリアだ。

但し、コレ失敗作なんだよね。技巧に凝ったせいで重いし、そこそこ威力はあるんだけど、矢が短い分ちょっと距離が伸びるとてきめんぶれやすい。何より装填に時間かかるから連射が効かない。

ぶれやすいからハズす可能性高いのに、すぐに次のが撃てないって役に立たんじゃん。もしかしたらコレの開発を断念したのはそのせいかも。何だか気分が上昇してきた。

「大丈夫です」

今度はハッキリ言えた。


今ならできる。従姉はその辺を見込んできたな。

でも、残念ながらコレが失敗作だということには変わりないし、改良する気もない。


従姉のことだから片付けしてて偶然見つけたから悪戯心で……って、クソっ、そっちだ。間違いない。

従姉は好きな相手ほどイジメたくなる性格だった。私は妹扱いされるほど好かれていた。

でも、一緒に来てないから見られない…………魔術師さんはどこだ。

剣士さんがクロスボウを渡してくれたが、魔術師さんはどこにいる。

見回すまでもなく、正面右手に姿を発見した。目が合った瞬間に逸らされた。間違いない。

何も言わずにそのままじっと見つめた。魔術師さんは落ち着かない様子で視線をひとところに置かず、さ迷わせた。私の視線に気づいた周囲の人も魔術師さんに注目しだした。


2分耐えた。

魔術師さんはいきなり頭を下げた。

『ごめんなさい。ボスに逆らえませんでした』

やっぱり。

『魔法で映像を残すように命を受けてます』

ため息をついた。

「姉さん、何やってんの」

『マリアンヌさんの可愛い表情が見たいと』

「子供じゃないから泣かないし」

『前に使った時は泣いたとか』

しまった。失言。

「15年くらい前ですよ」

『めちゃ子供じゃん』

「うん、だから」

『15年前にこれを使ってたとなるとリース商会の隠し賢者はやっぱり実在するのか』

「さぁ…私はカスレの時にそんな噂があると初めて聞いたのでわかりません」

騎士団長の言葉に小首を傾げた。

『マリアンヌ嬢にも秘密の存在なんだな』

私に秘密の噂でした。

ってか、賢者じゃないし。

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