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今日の宿泊も街道沿いの町だった。

朝早く出て、暗くなるちょっと前に着く。って日が長いから、移動時間はかなり長い。前回のカスレ行きは普通に朝食とってたし、夕方には着いてたから比べると明らかに強行軍。

それでも文句が出ないのは副団長じゃなくて団長が指揮してるから。団長ってスゴいらしい。

おかしいな。私のイメージではチョロい感じなんだけど。どこで食い違っちゃったんだろう。ってか、そんなスゴい人をロバに乗った従者を連れて風車に突撃でイメージしちゃってマズかったのかもしんないけど、誰にもバレないからいいや。


朝早いのは問題ないんだけど、身体を動かさないと鈍る気がするので、剣士さんと一緒に運動することにした。

馬車に乗せて貰った愛用の棒(家で使ってるのは主に3本あるので、そのうちの1本)で、騎士団の訓練用の刃を潰した刀を持った剣士さんと軽く汗を流すのが毎朝の日課になっている。

『マリアンヌさんって毎朝こんなことをしてるんですか?』

「してないですよ」

息が上がったので、本日の運動はお終い。今日はあと馬車に揺られて移動するだけだ。

魔術師さんが呆れたように声を掛けてきた。


「旅の間食べ過ぎなんでダイエットです」

普段はこんな生ぬるいことはしてません。真剣だったりする。真面目じゃなく、刃物的な意味で。さらに朝食を作るので私は早く上がってるから、父や弟の運動量には適わない。空腹は最高のスパイスで、朝食は恐ろしい勢いで消費されていく。ウチのメインの食事は朝食だ。食事量の面で。手が込んでるのは夕食の方だが。まぁ主に野菜スープとか豆のスープだったりするんだけど…………手が込んでるんじゃなくて、時間かけてるの間違いか。

旅行中は上げ膳据え膳で、私は一番暇だったりするんだが、お客様扱いなんで役割は無い。普通こういう場合、働かざる者喰うべからずとか言わない?

誰も言わないから、好き勝手してる。きっとあれだな。勇者を動かす為の駒。キツいと逃げられるから困るって思われてるんじゃないかと。

妹と離れてることが一番キツいんだけど、ソコは無視かい。


ブランシュ、ブランシュ、ブランシュ……。

心の中で妹への思いをたぎらせていたら、魔術師さんに声を掛けられた。

『姿見の魔法で妹さんに会います?』

はい?今なんて………なんか衝撃的なことを言われた気が………ああっ!

「ブランシュに会える!?」

『ボスに言われて妹さんに鏡の片方を渡してます』

鏡?鏡が何かよくわかんないけど、ブランシュに会えるってことだけはわかった。

『やってみますか?』

ブランシュに会える!思わず頷こうとしたけど、多分中庭にいる時間だと気付いた。


「夕方にお願いします」

断腸な思いで断った。

『移動中は警戒態勢だからちょっと…』

「ブランシュに会えないなら泣きます。帰ります」

使える手段はなんでも使う。プライドなんてブランシュの笑顔の前では塵に等しい。

『…夕方、馬車の中で』

魔術師さんが折れた。

夕方になるのが楽しみだ。あとほんの10時間♪

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