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『うーん。よくわからないけど、ターメリックに区民、軽田門を探せばオッケー?』
それを聞いた瞬間、勇者の耳を思いっきり引っ張った。
「人の話をちゃんと聞け!カレー粉は数十種類のスパイスの混合物だ。それなりの種類が揃わないとカレーにはならん!」
『痛い。痛いよ。マリちゃん』
チートでも痛みを感じるらしい。
「マリちゃん?私はマリアンヌだ」
とりあえず、
『とりあえずスパイスいっぱい揃えれば出来る?』
「で・き・な・い!」
『なんで?』
「辛くて味見できないから!」
胸を張って宣言した。
「それにカレー粉を使ってカレー作ったことないし。カレールーでならあるけど。蜂蜜入りの甘口のやつ」
『あれはカレーじゃないよ。辛くないじゃん』
「わかってるなら、私に期待すな!」
『やっとカレーの話ができる人に会えたんだよ。期待して何が悪いの?』
「相手」
『ヒドい、ヒドいよぉ』
勇者は泣きながら出て行った。頭にカップを乗せたまま…。
カップ返せ!いや、二度と来るな!




