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『…マリちゃん』

昨日の今日で憔悴しきった感じの勇者と朝食のテーブルで出会った。

外から来たってことは徹夜コースだったんだな。


『あの伯父さん、どうにかなんない?』

「なんない」

『枯れ木に花を咲かせて、まさかり担いで、うさぎが寝てる間に亀が………』


ああ、うん。よくわかる。


『今も頭の中が昔話だよ』

「どんな話も愛と感動の名作にできるらしいよ」

『…』

あの勇者が虚ろな目をしたのを初めて見た。


「夕方には昨夜の話の初版はできてるだろうから、新しい話を聞きたがるよ」

『昨日の今日でムリっしょ!いくつの話をしたと!』

「聞ける間に話を仕入れて、改稿はゆっくりとって前に言ってた」


あの人ムダに体力あるんだよね。戦闘職になれる。ってか、カスレ騎士団とか第3騎士団に普通に入れるレベル。いい年だけど。24時間耐久バトルやって最後まで立ってられる体力あるはず。40才をとうに過ぎて。戦闘狂な吟遊詩人はこの国で伯父だけじゃないだろうか。

ちなみに、父の家系はわりとバトル系が多くて、母の方は商才がありがち。

バトルに特化した赤牛とか商売に特化しか従姉に比べると私は中途半端な感じだ。筋力に頼ることもできず、商売には心揺さぶられない。



『マリちゃん!僕ちょっとご飯食べたら狩りに行ってくる。それから…討伐もあるからしばらく留守するかも』


うんうん。

私の笑顔に何かを悟ったらしく、勇者は慌てて朝食をかき込んで出ていった。

三十六計逃げるにしかず。

あの伯父からは逃げるのが一番。だけど……吟遊詩人の興味を惹いたが運の尽き。

バトル系吟遊詩人の名に相応しいストーカーぶりを見せてくれるに違いない。

二人とも二度と戻ってくるな!

あ…赤牛がまだ残ってた。ちっ

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