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子供のころから嫌いなこと、それは『面倒くさいこと』である。好きでもないことを努力するのは大嫌い。

というわけで、超大ざっぱなさつま揚げの作り方を勇者に伝授して、魔術師さんと散策に出てる。

今は港を見下ろす丘から街を眺めている。この景色を妹に見せてあげたい。

しかしだ。妹を連れてまたカスレに来ようなんて気は…………ここに牛がいる限り無い。


これが日本なら写真撮ったり、絵はがきでも買ってってなるんだろうけど、写真ないし、絵はがきないし……絵画ってたっかいんだよね。王侯貴族が画家に頼むくらいしかないから。しかも描かれるのは宗教画、勇者と魔王の闘いとか……これ宗教画扱い。マジで。なぜかは知らない。

風景画そのものが描かれてないから、当然売ってない。

私は図面は引けるが絵心はない。子供のころ、叔母に何か説明をしようとした時に断念してそれっきりだ。その時は図面通りに部品を作ってもらい、自分で組み立てた記憶がある。ただ、何を作ったのかまでは覚えてない。


写真もないし、カメラを造る気もしない。妹に見せるのは難しい。他の港町にいつか妹を連れて行けたら…………いや、旅行は止めよう。きっとロクなことにならない。

王都に生まれたものは、王都以外知ることはない。それが普通の人生だ。吟遊詩人じゃあるまいし……


『そういえば、ボスから伝言が…』

なんだろ、やな予感…。


『吟遊詩人様がカスレにいらっしゃるとかで、明日打ち合わせを兼ねた昼食会を…』


出た。伯父さん!

参るなあ。おとぎ話もそろそろストックが尽きそうだよ。


イラクサで編み物する姫君の話はまだしてないよな。白鳥とアヒルの雛が似てないのは当然だろうになぜか揉めてた話はしたかな。超ミニサイズで細胞のサイズダウンにも限界があるだろうからどうなってるのか疑問な姫君の話は……


あ!勇者いたじゃん。あいつになんか物語を喋らそう。正真正銘異世界の話だぜ。

アイツの明日の予定はどうなってる?本人に聞くしかないのか。

今戻ったら間違いなく試食コースだよな。ポテチ事件を思い出すと憂うつだ。

「今日のおやつは勇者が作ってるらしいので、試食してあげて下さい」

『勇者様のは異世界のもののせいか変わったものばかりですが、美味しいので楽しみです』


よし!言った。

試食は任せたよ。


さあ、帰ろう。

ヤツの料理の試食なんて二度とごめんだがな。

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