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そろそろ王都に帰りたい。

そのためには、弟へのお土産の選定をしなければ……。


で、今日もリース商会カスレ支店に来ている。

魚の種類、燻製・干物・塩蔵の別、干し期間などの細かい違いのあるものでスゴい数の試食品が並んでいた。

私にはリンデンティー、従姉兄たちには酒、勇者には白湯、その他、食事時の飲み物を用意された関係者が揃っていた。

カスレ騎士団と、第3騎士団の非番者もいるのは兵糧を想定しているからかもしれない。


従兄から採点方法の説明があった。5点満点で何回でも投票可、調理法や味付けについてコメントを入れてくれたら嬉しい。各自の名前入りの投票用紙が配られた。

知らないと下手なことは書けない気になるが、責任感のある忌憚のない意見が欲しいだけで、口に合わなければボロクソでも構わない。


これで一定の評価を得たものが市場での同様な調査を経て商品になる。ってなってるんだけど………コレ裏があるんだよね。結果は公表されないし。

商品価値の高いと上層部が判断したヤツは結果に関わらず優先的に商品化される。

自分たちが選んだって親近感を持って貰うのも目的の一つ。


ごめん。子供の頃の悪ふざけから始まったんだよ。

一番に試食した自慢もできるから意外とリース商会の中の人に好評で、口コミで早く広まる。

そのために制作側から見るとちょっと失敗かもってのもわざと残してあるんだよね。自分たちで選んだって感じにするために。



まぁ、そんなことはどうでもいいんだ。弟に土産ができればね。

リース商会がウチの分を特別に保存袋に入れて運んでくれるしね。オマケにタダ、開発費に組み込まれてるそうだ。


『マリちゃん』

「ん?」

『…ご飯が欲しい。白ご飯』

「米見つけて来い!脱穀しろ!飯ごうで炊け!以上」

『だって、アジの干物だよ。ご飯食べたくなるじゃん』

「だから自力で調達しろ」

『でさ、なんで僕だけ白湯』

「リース商会の勇者対応マニュアルに書いといたよ」

『この間の飲み会にも誘ってくれないし、マリちゃん最近冷たい』

いや、優しくしたことないし。

『ホントはわかってる。お兄さんがいるから照れてるんでしょ』


違うーっ!

赤牛の楽天的勘違いもヒドいが、コイツの超勘違いっぷりもヒドい。脳筋だし、キャラ被ってない?

ってか、こんなん二人も勘弁して欲しい。

早く王都に帰って二度とカスレなんかに来るもんか。


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