表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/235

100

今日は雑貨店巡りになりました。妹へのお土産を探さなきゃいけないのに、今まで勇者やら従姉兄やらに頼まれて市場で食材探しがメインだったの。

可愛い妹に合う可愛い雑貨を見つけなきゃね。後ろから付いてくる可愛い雑貨店に合わない赤い巨体はガン無視で。


勇者は討伐に出かけた。それが主目的でこちらに来たのでサボってばかりはいられないらしい。当たり前だろ。

私が払った税金で給料貰ってる分際でサボるなどとは千年早いわ!有給取得は認めるがな。有給があるのなら。


で、隣でリボンを見てるヤツはサボってばかりな気がするけどいいのか。今日は休みらしいけどな。


『ブランシュには何色のリボンが似合うかな?まだほんのちびっちゃい頃しか知らんからわからん』


「5m」

問いかけは無視した。

赤牛は慌てて下がるが狭い店内であるが故に2mが限界だ。


『5mだと店から出ちゃうよ』

泣きそうな顔をするが騙されない。コイツはこれくらいでは泣かない。


「出ろと言ってるんだが?」

睨みつけながら言った。ファンシーなお店に不似合いなほどの身体つきで浮きまくってるんだから営業妨害だろ。もっとも他に客もいないがな。


『お客様…』

店員が近づいてきた。チラッと上の方を見てから、私に営業笑顔を向けた。

『騎士団副団長のルネ様のお知り合いでしょうか?』


『可愛いだろ。俺の妹のマリアンヌだ』

赤牛は嬉々として私を紹介した。

『妹様でいらっしゃいましたか』

可愛い妹と紹介されて店員が困ってるだろ。黙っていたら周囲に埋没する平凡さを褒めなきゃいけないのは大変だから、そっとしといてあげろよ。


『お年頃なんで俺と外出するの照れてやがるんだ』

照れてるんじゃない。キッパリはっきりガッツリ嫌がってるんだよ。

赤牛は昔っから私に男性が話し掛けた場合に先に発言する。多分牽制なんだろう。


「はじめまして。いつも兄がご迷惑をおかけしております」

取り繕った笑顔を返した。赤牛と違って社会性というものを理解しているつもりだ。

ああ、絶対迷惑かけてるだろな。昔っから暴れ始めると気遣いとかないから、周囲のものを破壊しまくってた。

『いえいえ、ルネ様のおかげで治安が良くて商売しやすいです』

さすが商売人。そこは外さないか。素性もバレたことだし、とりあえずそこそこの仲の兄妹のフリでもするか。


「ルネ兄様。ブランシュへのお土産悩んじゃって決まらないから、複数ってわけにはいかないかな?」

上目使いで聞いた。“上目使い”ここ試験に出るポイントだから(笑)

相手が無駄にデカいから簡単で効果的なんだよね。

『マリアンヌがそう思うなら、俺が出すから安心して好きなだけ買いな』


「じゃ、とりあえずリボン全種類下さい」

遠慮なく。ブランシュの友達の分もね。王都と違ったポップなデザインがウケるかもしれないし。


「それと……これとこれとこれ」海らしく貝殻を使ったアクセサリーとかいいよね。

遠慮の無さに店員の視線が赤牛に向かった。支払ってくれるか心配なんだろうが、私にゲロ甘なヤツに否はないはずだ。

案の定、視界の上の方で頷いくような動きがあった。

「王都まで馬車旅なんで、壊れないようにしっかり包んで下さいね」

にっこり笑う。コレが脅迫ととられることが多いのはいつも謎だ。


『自分の分は要らないのか?』

赤牛が聞いてきた。

ファンシーな小物類より実用品が好きなことを知ってるから、私の分じゃないことがわかるらしい。

「欲しいものは自分で手に入れる」

目も合わさないで拒否る。

『相変わらずストイックだな』

ちゃうわ。お前からモノを貰うと後が怖いんだよ。要らんものは要らんしな。

この間貰った棒は折れて投げたからその場に放置したんだけど、最後にコイツが拾い上げたのが視界の隅に入ったのは気のせい………。

ブランシュがなんと言おうとも、コイツは二度と王都に戻らせない!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ