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所謂異世界転生しました。めちゃ中世ヨーロッパ風です。前世の記憶はあるけど、チートは多分ありません。非力だし、魔法使えないしの22才。
で、最近 元の世界からの召喚勇者と知り合いになりました。チートです。怪力だわ、魔法使えるわ、精霊とお話できるわ、聖剣使えるわ、魔王倒しちゃうわ…。そうです。勇者は暇なんです。暇つぶしにつき合わされてます。
『でさぁ、おにぎりとかない?』
庶民の家にいきなり入ってきて、最初の言葉がそれかい。
「米はない」
中世ヨーロッパだって。
『冷たいこと言わないで』
うるうるとした瞳で見下ろしてくる勇者。180センチくらい。
「食べたかったら勇者の名を使って米手に入れてこい!ついでに飯盒で炊け!」
見上げる私は160。前世とほぼ同じ。
『マリちゃん冷たい』
「マリアンヌだ!ついでに塩と小麦粉とハムと卵も持って来い!」
『小麦粉とハムと卵はおにぎりに入れないで』
「単に欲しいだけ」
『おねだりか』
なんで嬉しそうなんだ!たかりだよ。たかり!
『マリちゃんのためならハムや卵の一つや二つ…』
「卵は十個でお願いします」
両親と弟妹にもハムエッグな。
『だし巻き玉子作って』
「だしの素持ってこい!あとマリアンヌだから!」
『出汁はとるもんだよ。マリちゃん』
「かつぶしから作れって?」
睨むと勇者はすごすごと出て行った。二度と来るな!