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第46話 お勧めスキル

「よし95!」


混沌の魔窟で狩りをする事三日。

俺のレベルが95まで上がる。


「いやー、聖女印のエリクサーはすげぇな」


この三日間、一睡もせず俺は魔物を狩っていた。

それが可能だったのも、五分に一回ペースで飲んでいたエリクサーのお陰である。


何故なら、エリクサーにはHPやMPだけでなく、肉体や精神の疲労の全回復効果まで入っていたからだ。


「現実にあったら、完全にやばいクスリ以外何物でもないよな」


まったくつかれなくなって元気で居続けられる薬とか、現実なら強烈な副作用待ったなしである。

ゲーム世界万歳だ。


「さて……狩りは一旦切り上げて、例のスキルを取りに行くとするか」


俺のスキルポイントは後16ポイント余ってある。

99まで上げれば20ポイント。

俺はその内、10ポイントを使って新しいスキルを取るつもりだ。


――その名も限界突破(リミットブレイク)


これはOTLで95になったら、取り敢えず取る事が進められる強スキルだ。


その効果はHP・SP・MPがレベル×10%上がるという物。

レベルは最大が10で、マックスまで上げるとその三つの項目が2倍になる事を考えると、これを取らずに何を取るって感じなので、そりゃお勧めされるわなってなるスキルである。


え?

エリクサー使い放題のお前なら、HP増量とかいらないんじゃないか?


そんな事はないさ。

確かに雑魚狩りなら、今のHPでやりくりは十分可能だ。

強力なバフもあるし。


けど、それがボス狩りになって来ると話は変わって来る。

聖女のバフ込みで、再使用までの3分持たない様な強火力のボスは普通に居るからな。

精霊のヒールだって、常に期待できる訳でも無し。


なのでより多くのボスを狩る為にも、俺にとってこのスキルは必須の物となっている。


「習得は街スタートのイベントだから、一旦街に帰って……ああ、帰ったら先に鱗を増殖させて渡しに行くか」


帝王の鱗はまだユミルに渡していない。

まあワニ島狩りからここに直行して、そこから三日間ノンストップだった訳だからな。

いつ渡すんだって話である。


という訳で、街に戻った俺は増殖した鱗を神殿で聖女――正確には、用事で出られないユミルに変わって対応してくれた彼女の遣いに渡し。

それからイベント発生ポイントへと向かう。


場所は王都の東側にあるくっそ古い洋館。


持ち主は不明で、誰も手入れしていないのか、その外観はほぼ幽霊屋敷だ。

ここが地球なら頭の弱そうな配信者当りが勝手に侵入し、映像を上げてる事間違いなしである。


「ちゃんと開くな」


外門にあたる大きな鉄柵に手をかけ、俺はそれを押し開く。

この柵には魔法の封印がかかっており、レベル95未満では開かない様になってたりする。

だからレベル95にならないと、イベントを熟せない訳だ。


「中は綺麗なんだよなぁ」


中庭を抜け、俺は屋敷の扉を開ける。

内部は外観とは裏腹に、清掃が行き届いているかのような綺麗な場所となっていた。


『あ、ひがついたー』


俺が屋敷に一歩足を踏み入れると、一番手前にある左右の燭台に火が付く。

更に中に入っていくと、俺を誘導するかのように奥の燭台に次々と火がついて行った。


まあする様にってより、実際誘導してる訳だが……


因みに演出が似てるからと言って、途中でボス連戦からの三つ目のラスボスなんかは出て来ないぞ。


燭台の炎の道案内は、魔法陣の描かれた大きな扉の前まで続く。

この扉の先にいる人物こそ、素敵スキルを俺に伝授してくれるNPCだ。


「この館に人が訪れるのは何十年ぶりかねぇ」


扉を開けると、部屋の中央に椅子があり、その椅子に座る超小柄で体のすけた老婆が俺に声をかけて来た。


「スキルを学びに来ました」


黒い三角帽子とローブを身に纏い、ブルドックっぽい顔つきで、水晶に乗るのが似合いそう見た目な老婆の名はサミー。


かつて勇者と共に世界を救った、勇者パーティーの一員の亡霊だ。



拙作をお読みいただきありがとうございます。


『面白い。悪くない』と思われましたら、是非ともブックマークと評価の方をよろしくお願いします。


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