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最高峰の学園で最弱な俺が最強を名乗る!?  作者: 秀の要の誠
第一章、始まった最高峰
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最高峰の剣技

 まったく、めんどくさいやつだ。

俺は少し落ち着いてから白石のこと思い返していた。あいつが何を抱えているのか。それを俺が知ることはできるのだろうか?

いやはや、一人で考えていても埒が開かないな。とそう思い俺は目を閉じて眠りにつくのだった。


 「おはよう。授業を始める」

教室に入り俺は開口一番にそういう。

「おはようございます!今日は何するんですか〜」

「お、音乃瀬。随分元気がいいな。いいことでもあったのか?」

「いえいえ〜何もないですよ。それよりちょっと頑張らないとなって感じです」

「そうかそうか」

どうやら音乃瀬はしっかりと切り替えができているようだ。

「授業。」

俺が感傷に浸る間もなく、横からとてつもない圧を掛けられる。

「変わらないな。犬塚」

「変わる必要もない。早く授業。」

「とは言うもののな」

と言葉を置き俺は、告げる。

「昨日もだが、これからテスト当日まで俺は授業するつもりはないしな〜」

ガァァーン

効果音でも付けたかのように顔色が変わる犬塚。こいつもこんな表情が動くこともあるんだな〜。と、そんなことを呑気に思うのだった。

さて、と。

今日はいつもと違うことが一つだけある。と言うか居る。

「なぁ?不二原?」

「あら?何かおかしなことかしら?私は生徒よ」

「嫌そうだけどさ」

これまでちょくちょく来てはいたし、案外頼れる生徒だとは思っていたけど、やっぱりなんか変な気がしてしまう。

「あらあら?それは私が不二原家だからかしら?」

「あ?」

何言ってるんだよ。やっぱ何を考えて、どこまで知っているのか、ゼロから一までわからないやつだけど、何も隠すことはないと思ったのでしっかり伝えることにした。

「不二原とか特別な家系とか、んなことどうでもいいけどお前が環だから。環だから、ここにいることが少し不思議に思えてしまうんだよ」

なにを繕わなかった。腹の底からの本音。まぁ、不二原は案外頼れる生徒ではあるんだけどな。

「そう。先生は生徒の過去とか、そう言うの気になるもんじゃないの?ほら麻弥さんとかの過去は少ししれたわけでしょ?なら」

俺はその言葉を遮った。

何でか?理由自体は簡単だ。これ以上必要ないと思ったから。その上、

「もういいだろ?それが何であれ、この一年は俺の生徒だ。担任である俺がそれを否定したらもうどうしようもないだろ?」

「ふふ、やっぱり面白いことを言う教師ね。最高峰な教師像…かしら?」

「ちょっと、は?俺言ったか?」

「さぁね〜じゃ勉強しなきゃ、でしょ?」

本当に何考えてるのかわからんな。でも、こうして教室に居てくれるならそれでいいか……。………最高峰の教師像か〜自分以外にそう言われると、案外恥ずかしいものだな。と、そう思い少し顔を赤らめると同時に、不二原の顔も少し笑顔になるのだった。


……………まだ、まだ足りない。

……………はぁはぁ、まだ、まだ。

剣の腕を上げろ。力をつけろ。誰にも負けるな。ランキングを上げろ。

ただその一心だけで私は腕を上げ続ける。

私が強くないと、全てがダメになる。

はぁはぁ、まだやり続ける。立ち続ける。

時刻はとっくに二十時を過ぎている。辺はすっかり暗くなり、ここで立ってるのは私一人だけだった。

手には刀を持ち、それを上下させる。腕が悲鳴を上げているような気がする。でも、それに臆してる暇はない。それにもう実技テストまで時間がないんだ。この特訓を終えてからは、勉強もしないと。……そのためにも私は刀を握る。そしてまた自分の世界に入り込む。

 あれから、何時間が経過しただろうか。輝いていた街明かりもすっかり無くなり、私の特訓も終了を迎えた。

今からは急いで帰って支度を済まし学問に取り掛かるだけ。よし、時間通り。と、そんなことを思い私は足早にその場所を後にする。


「や、やだ。やめて…」

道中そんな声が私を食い止めた。

声の方向へと視線を向ける。

「なにも、、ない?」

そこには何も見えなかった。でも、確実に声は聞こえた。私が変………?いや、そんなはずはない。私は他の人より格段に鍛えがある。だから、聞き間違えのはずはない。

呼吸を整え、耳を澄ませる。

………………………………………や、

「やだ、誰か。誰か助けてー!」

次こそは明確に聞こえた。音の方向はやっぱりこっちだ。

それを理解すると同時に私は強く地面を蹴る。

音が少しずつ大きくなる。……そして、見つけた。

大柄な男性二人が、一人の女性を追い詰めている。力ずくで制御しようとしているようにも見える。

「あなたたち、何しているんですか?」

私は一番にそう声をかける。すると男性たちの視線は一気にこっちに向いた。

「あ?」「んだよ」「あれ?こいつも女じゃね?」「本当だ、しかも結構可愛いじゃん」

最初こそは威圧的な態度であったが、私が女だと知った瞬間目の色と態度を変える。

「ほら?正義のヒーロー気取りですか〜?」

「ギャハハ。ただのアホじゃん」

「やっぱり、新しい被害者になるつもりだったんですか〜」

そんなことを言いながらケラケラと私に近づいてくる。

その油断が命取りだと知らずに。

「一応聞きますが、あなたがたは力ずくでこの女性に手を出していた…と言うことでいいですか?」

「次はお前だがなぁーーーーーーーー」

そんなことを言い飛び出してくるその男性に私は。

シュッー

一線、空を切った斬撃だけでその男を薙ぎ払った。

「その油断は、判断ミスを誘発させます。もうこんなことしないんですね」

そこに倒れ込んでいる男性たちを見下ろしながら私はそう吐き捨てる。

「あ、ありがとうございます。なんでお礼を言えばいいか……お強いんですね」

そこで襲われてたであろう女性も感謝を伝えてくれた。

「いえ、お礼なんて滅相もない。こんな時間にもう出歩かないようにしてくださいね」

「はい、わかりました。本当にありがとうございました」

女性は大きく頭を一度下げてその場を後にした。

「さて、この人たちどうするかな」

一人になったその場所で私は一人呟くのだった。


 とりあえず私はその場を離れていた。あの男性たちもすぐに目を覚ますだろうし、ダメージ自体は入っていないはずだ。人は簡単に気絶をするということが見て取れる。私はこうやって人を倒すことに長けている。

相手の脈拍、呼吸、急所、体格、目線。その他もろもろの要因を全て把握し、相手の一番弱いところに得意をぶつける。それが私の戦い方だ。

元々の才能ではなく、努力や特訓の成果でこの技術を身につけた。だから、だから早くランキングをもっと上げないと……。そう考え、私は足早に自宅へと帰るのだった。


 「ただいま帰りました」

家の扉を開け、そう言葉を漏らす。

その言葉の返答はすぐに返ってきた。

「遅かったじゃないか。こんな時間に何してた?約束と違うんじゃないか?」

「すみません。いつも通り特訓をしていた後、絡まれてる女性がいて、少し油を売っていました」

「そうか」と、私のお爺様である。その人は立ち上がった。

「ただそれは遅れていい理由にはならないだろう。いつまでも下位なランキングで満足しているからそうやって怠ける」

「すみません、、」

「もういい。もう学問に着け。次のランキング変動テスト、上がらなかったら容赦はしないぞ」

「わかり……ました、」

それから私は机に向き合うのだった。

テストまであと一週間と少し。最後までやれることはやらないと………。


 「音乃瀬、ちょっといいか?」

その日学園で俺は音乃瀬を呼び止めていた。

「なんですか〜?」

「すまんな〜でもちょっと音乃瀬だけには言っとかないといけないことがあってな」

「私にだけですか!なんですかなんですか?」

「やけに機嫌がいいな。でだ、白石について、少し話したいことがあるんだけどいいか?」

そう、俺が音乃瀬を呼び止めた理由は他でもない白石のことだった。

音乃瀬はきっと白石のことも知ってるだろうし、昨日白石と話した時も音乃瀬の名前が出たりした。だから何か知ってるかな〜と思った。ただそれだけだった。

「夢香さんのことですか」

少し歯切れの悪そうに音乃瀬は続ける。

「私あんまり夢香さんのことは知らないんですよね。知ってることと言えば、私がこのクラスに来る前の最下位だとか、実力と実績が見合ってないとかですかね。噂程度でしか知らないんですけど…」

ん?噂程度でしか知らない?

そんなことあるのか?あんなに音乃瀬を守らないと、とか言っていたような奴と音乃瀬にそこまで大きな接点はないというのか?

「そんなこと、あるのか?」

「はい。夢香ちゃんは授業にも来ないよ、あまり会う機会がありません。一位のレクリアちゃんとは会ったことも話したこともありますし、多少の情報は持ってますよ。でも天ヶ瀬霊さんと夢香さんは本当にあったことも何もないので知りません。なんなら天ヶ瀬さんは私のことも知らないんじゃないですか?」

「なる、、ほどな」

少し意外ではあった。天ヶ瀬の件は一旦置いておこう。

今の問題は白石 夢香。こいつをどうするか、それだけだ。さてさて、俺はしっかり生徒に向き合うことはできるのか?と、そんなことを思ってしまうのであった。

「あっ待ってください」

その場を後にしようとした俺を呼び止めたのは、音乃瀬のその声だった。

「どうした?」

「大した情報源にはならないかもなんですが、夢香さんはとてもランキングに固執していますし、一緒に住んでいるお爺ちゃんがとてもストイックな方なので、人と馴れ合ったりするのはあんまり好きじゃないかもしれないです」

「なるほど。わかったありがとうな」

「いえいえ、これくらいならいつでも大丈夫です」

「それと、また今度少しお願い事するかもしれないからその時はよろしく。音乃瀬にとっても重大なお願いかもしれないし」

「わ、わかりました!いつでも頼ってくださいね」

ありがとう。と言葉を残し次こそはその場を後にするのだった。

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