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最高峰の学園で最弱な俺が最強を名乗る!?  作者: 秀の要の誠
第一章、始まった最高峰
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最高峰の人間関係

「とっ、言うわけで」

俺は昨日学園長に言われたことを生徒たちに告げた。

「ランキング変動。」

「ついにですね…」

「基本クラスが変わるということは少ないらしいな。あと、今日来てない奴らにも伝えとかないとなんだが」

「じゃ、私伝えときますよ。連絡先は知ってます」

「私。知らない。」

「じゃ音乃瀬にお願いするわ。悪いな」

「大丈夫ですよ〜」

今日も今日とて、このクラスには二人しか来ていなかった。不二原は来てくれると思っていたんだが、まだ来ないらしい。

「今回のランキング変動テスト、どのような形式で行われるんですか?」

音乃瀬が口を切った。

「言ってなかったな」

と、一言告げて俺は詳細を話す。

「今回のテストでは学力を測るするテストと武力・判断力・応用力を測る実践形式のテストで行われる」


「学力の方のテストでは、普通のテストとなんら変わりなく筆記試験をしてもらう。カンニングや不正行為が見つかった場合はワンランクダウンらしいからするなよ」

「するわけない。勉強。」


「武力の方のテストでは、個人戦、一対一ではなく広大なフィールドに何人かを入れそこで戦う。そこで標的を、倒すことが目的だ。敵を倒すのもあり、標的だけを狙うのもあり、自分の判断が試されるテストだ」

「応用・判断ですか」


「各自戦略や復習を怠らないように。それと遠慮なく俺を頼るように」

「わかった。じゃ今日の授業。」

「相変わらずだな〜とりあえず今日からはテスト範囲の復習をする」

「そうなの。」

「何かおかしなこと言ったか?」

「いや、これまでの先生やS+の担当をする政府は私たちには上を上をで、復習とかはしてくれませんでしたので」

「全員自習でなんとかしてた。」

「嘘だろ?それで成績を維持しろって?」

「そのようですね。私は前回の一回しか受けたことないので、詳しくは知りませんが」

音乃瀬はここに来てまだ日がかなり浅いらしい。

「私は。ずっといる。」

「武力の方はどうやって?」

「テスト期間はずっと休みだから。」

仮にも学生にする仕打ちだとは思えなかった。

政府の人間はこの学園の生徒をどのように思っているのだろうか?少なくともいい扱いはしていないんだろうな。

「かと言って、今回は俺が担任だ。授業もしっかり受けてもらう」

「了解です!」

「そっちの方がいい。」

なんとかこの二人からの了承は取れたみたいだ。

たださっきから気がかりなことが一つだけあった。

なぜかは理由はわからないけど、音乃瀬の歯切れがここ最近ずっと悪いのだ。何かが心に詰まっているかのような。

「あら?何か悩み事かしら?それなら解決に向かった方がいいと思うわよ?」

いきなり俺に声をかけてきたのは、他でもない不二原だった。

「なんだ?お前は心でも読めるのか」

「私の能力見たわよね?」

それだけでなにを言わんとしているか理解ができた。

「てか、いつから居たんだ?少なくともさっきはいなかったろ」

「細かいことなんていいじゃないの。私はね気分が向いたから来たのよ」

「はいはい。そんじゃ今日は授業受けるのか?」

「たまにはいいかなってね」

「なるほどな。じゃ席につけ」

「はぁーい」

不二原に犬塚。なにを考えているかがわからない二人だが、どちらも種類は違う。

「不二原さん、こんにちは。珍しいですね」

「そうかしら?」

「でも、嬉しいですよ私は」

「それはよかったわ」

さすがは音乃瀬と言ったところか。不二原にもうまく関わってくれている。不二原も不二原で悪いやつではないのだ、そのまま仲良くなってくれたらありがたいな。


「先生。わからない。」

時間も少し開き各々が自習をしている時、犬塚が手と共に声を上げた。

「どれ?ってこれは前授業でやったろ」

「でもわからない。」

ん〜なにがダメなんだろうか?こいつは人一倍努力しているが、結果が合わない。だから俺は単純な疑問を口にした。

「お前家ではどのぐらい机に向かってるんだ?」

「三時間はやってる。」

「すごいな。どんなことやってるんだ?」

「テトリス。」

「………は?いやゲームは勉強じゃないんだぞ」

「家で勉強しない。」

なるほどな。こいつの成績が伸びない理由が今明確になった気がする。

「私。強いもん。」

「そのうちこのクラスから居なくなりそうだな」

「ほら先生そういうこと言わないの」

「でもみんなの上の割にこのクラスには入りたくないって人が多いわよ?」

「そう、ですよね。私も上がってきた身なので自覚しています」

「そんな嫉妬の目気にすることはない」

こいつらは他クラスの話をし出すといつもそうだ。自分の実力や才能を卑下的に見ることが多々ある。

特に、

「音乃瀬。お前は自分の実力や努力でこのクラスに来れているんだ。自分にもっと優しくなってやれよ」

そう。音乃瀬は上がりものとして他より言われることが多いらしい。だからそこの言葉だったのだが。

「それは、無理ですね。自分に嘘をつくたび自分が嫌になるんです」

「なるほど……な」

音乃瀬が抱えているものはどれほどのものなのか、今聞くべきではないのかもしれない。

「私はいいと思うけどね」

無言の中口を開いたのは不二原だった。ニヤと笑みを浮かべながら言葉を続ける。

「自分に嘘をつくことが嫌なのであるならば付かなければいい。自分を認めることってそんな難しいのかしら?他人の目を気にするなっていうのはかなり難しいことかもしれないけど、その中でも自分の目を一番に気にしてあげてもいいと思うわ」

と、的確な助言をしていた。音乃瀬とはまた違う種類の大人なのかもしれない。

「ありがとうございます。私ちょっと疲れたので帰りますね。不二原には感謝します」

「いいわ」

そう言って音乃瀬は帰る支度を始めた。教師ならここで引き留めるのかもしれないが、俺にそんなことはできなかった。

「先生。これなに。」

「ちょっと不二原教えてやれ」

「仕方ないわね」

音乃瀬のあの苦笑は、あの顔はきっと自分を殺してしまうと感じてしまった。とりあえず、今は残っている人の授業をしよう。


疲れちゃったか〜。変な言い訳をして逃げてきちゃったな。不二原さんはきっと優しさなんだろうけど、ちょっと苦手だな〜。

私は一番わかっている。自分が一番努力しないといけないと、ランキングも最下位。それどころか下からも抜かれてしまうかもしれない自分が、こんなところで逃げてていいわけない。

そんなことを考えながらも私は帰路に立つ。一人でこの道を通るたびに思い出す。私がBクラスにいた時の記憶が鮮明に蘇ってくる。


「ねぇ。今いいかしら?」

今日の授業を全て終え下校の時間となった時、俺に声をかけてきたのは不二原だった。

「なんだ?最近はよく話すな」

「嫌かしら?」

「嫌じゃないさ、お前も俺の生徒なんだ」

「ならよかったわ」

「んで?普通に雑談しにきたわけじゃないんだろ?」

不二原が声をかけてくる時、それは必ず何かしらの要件がある時だ。それはまだ心を開き切っていないという読み取り方もできる。

「これでも私はあなたに期待をしているの。だから言わせてもらうわ」

と、改まって不二原は話し始めた。

   ー麻弥という名前の、少女の話ー

そういい、不二原は淡々と語り始めた。

「そう。麻弥と呼ばれる少女は典型的な血筋の持ち主だったの。それも強大な能力と言われて、才能だけならS+のクラスを一人で壊滅させれるとか」

「あのクラスを一人で?」

「そう。でもその子に特出した才能はなかった。そして何より優しい心の持ち主で血筋の才能も使いこなすことができなかった。ただねそれでもその子は努力を続けた。才能がないと言われても上を目指した」

「それで?」

「その子はAランクにまで成長をしたわ。ただ問題はここから。その子のその急成長は周りから見てて面白いものではなかったの。結局は才能だとか血筋だとか、誰一人としてその努力を認めない」

「…ん」

「だから自分に嘘をつき始めた。みんなに好かれる性格を演じ続け自分を隠し続けた。それが唯一愛される方法だと知っていたから。親にも友達にも教師にも、いい子で笑顔振りまく自分で塗り固めた」

「つまり?」

「私はその子があまり好きじゃない。きっとその子もね」

「要するにお前はなにが言いたいんだ?」

「このクラスには逸れものが多いでしょ?授業すら出ない子ばっか」

「お前にも言えたことだがな?」

「あなたの目的が何か知らないけれど、あなたならそんな子を見かけたらどうするのかな?って気になっただけよ。これ以上は気にしないでちょうだい」

不二原という女がなにを考えているのか理解ができない。でも少し心に引っ掛かる何があった。でも俺の解決策は一つしかない。

「それならそいつに自信を身につけさせる。下の意見も何もかも結果で黙らせる。それが俺の生き方だ」

それしかなかった。俺にも特出した強さはない、でも憐れみを負けと認めるほど大人でもない。

「やっぱり面白い人ね。それじゃまた少し期待させてもらうわ。頑張ってね先生」

少し驚いてしまった。不二原の口からこうもあっさり先生と言われると思っていなかったからだ。不二原が今この話をしてくれたことにはきっと意味がある。そして生徒からの期待の目を向けられたらなんで答える?答えなんて最初から決まっていた。

不二原の目をしっかり捉え、笑みを作りながら俺は言う。

「あぁ、任せろ」

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