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最高峰の学園で最弱な俺が最強を名乗る!?  作者: 秀の要の誠
第一章、始まった最高峰
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最高峰の能力

一度恐怖を与えた相手というのはなかなか動けなくなるものだ。それはこいつに限らず、人間としての本能だから。

俺がこのクラスの担任になれたのも、政府に認められるだけの実力があるように見せたのも、全て俺の唯一の才能である。冷え切った圧の出し方にあった。

…でも、だからこそ謎も残った。俺はこの圧に少々自信があったのだが、凪は動じず抵抗してきた。その圧を前に自分は俺よりも強いと、そう宣言した。一体どのレベルなんだろうか。まぁ凪だけだったら別によかった。強がっているだけの可能性もあるからだ。問題は、不二原のことだった。あいつは俺に恐れるどころか、俺の実力を見抜いていたかのように、弱さを知っているかのように振る舞っていたことだった。全く、謎が多いやつだ。

「どなたか存じませんが、ありがとうございます」

さすが、と言った感じだろうか。この仮面をしていたら大抵の人間にバレることはない。

「大丈夫だ。気をつけるんだぞ」

「あ、ありがとうございます」

さて、と俺は辺りを見渡し犬塚を探す。この戦場での犬塚の活躍は目を見張るものだった。ランクS+ともなると実力だけでは入ることができない。その中であそこまで学力がないのにこのクラスにいて、五位というランキングを獲得している犬塚は相当の実力があるということなのだろう。戦いを見ていてわかったこともある。それは戦闘においての頭のキレは確かなものだということだった。学力がなくても知識はあるらしい。頭の使い方が上手いというのが正しいだろうか。

とりあえず、俺がここで戦っても足手纏いには変わらない。……俺にできることはなんだ。そう思考を巡らせていた直後のことだった。

ブォォォォ

強烈な音と共に敵側の人間だけが倒れていった。いや違う。いつのまにか政府側の人間は俺と俺の生徒しか居なくなっていた。先に避難されたのか?それともこの衝撃の何か関係があるのか。

「な、なに?」

音乃瀬もこの調子だった。

「能力。人前でそんなに見せるものじゃない。」

犬塚は何か知っているようだった。その口から出た言葉は…

「能力……?」

聞いたことがあった。この世界。いやこの国には能力を持った人がいると、ただ今はそんなことを考えている暇ではなかった。俺が俺であると、生徒にですらバレるのはめんどくさかったので、その土壇場を見計らい俺は仮面を外し、隠す。そして何事もなかったかのように音乃瀬に声をかける。

「今の、」

「あ、先生。先生ですか?こんな相手側の人だけが倒れるだなんて」

いや、と否定を入れようとしたがその否定は俺じゃないやつが間髪入れずに答えた。

「違う。不二原の力。」

「あらあら、そんな人の力を他言するものでもないわよ?」

「人の前。ポンポン能力使ってるのに言われたくない。」

「でも見たのはあなたたちだけでしょ?仮面さんはちょっと例外かもしれないけど」

「仮面?。」

「そうだ、仮面の人はどうしたんですか」

「知らないわよ。見られたくない事情でもあったんじゃないかしら?」

この女はどこまで知ってるのか、俺だと知っていながら言っているのか。

「また不二原だけ。また順位が。」

「能力を使うことに躊躇う用じゃ四位は遠いわよ?」

「普通に戦ったら。負けない。」

「ちょっと喧嘩するな、今は順位とはどうでもいいだろ。そんなことよりなんでここにいるんだ?不二原」

「それは生徒だからよ?一応S+のクラスですし」

「でも警報はお前のところには届いてないはずじゃ?」

「あ、それは違います。私たちS+、正確にはS以上の生徒の寮にはクラスと同じバザーがあるので、寮にさえ居れば応答を聞くことはできます」

「そういうことね。ほらみんな無事だったんだからそれでいいじゃない」

「政府の人は?」

「少し移動してもらってるわ。もちろん誰も気づいてないんだけどね」

「無事ならそれでいい。とりあえず帰るぞ」

この不二原という少女は一体なんなのか、悪魔と言われている家庭の娘。それなりの力はあると思っていたが、能力か。

能力は人なら誰でも持っているというわけではない。この国でも貴重な方だろう。たまに能力を複数所持している場合があるらしいが、かなり少ないらしい。S+と呼ばれるだけのクラスだ。持っていても不思議ではないと思っていたが、ここまで強力な力なのか。

「ほら先生。考え事かしら?S+というランクを甘く見ないことね。先生のステージとは少し違う次元かもしらなわよ」

「っは。本当にどこまで見えてるんだ?お前」

「あら、予想と考察を交えて話しているだけだけど」

「そうかい。とりあえず助かった」

「あのままでも負けはしなかったでしょう」

「お前の言うアラがどこで出るかわからないんだ」

この悪魔と言われる少女には少し本心を交えて話してみた。

「そうよね。少しでも期待したのにな」

「?てかお前。なんだあの力は」

「いう義理はないわね」

「あるだろ」

「いや、ないわよ。何を言い出してるの?」

「辛辣だな。俺はお前の教師でもある。しかもお前ほどの奴があそこであれを放ったのには意図があったはずだ。政府を動かせるなら俺たちを動かすことも可能だったんじゃないのか?」

「それはそうだけどね。少なくともそれは今じゃない」

「そうか。ならお前が言いたくなるのを待つさ」

………

「なによ。変な人ね」

「変だ?どこも変じゃねーよ」

「私の、家庭について少しは知ってるんでしょ?前も少し話したかしら?」

「不二原。仁王堂と並ぶ名門家だ。流石の俺でも少しは知ってるさ」

「その家庭の、血筋の力は壮大なのよ。立派な肩書きまで貰っちゃってね」

「あぁ、」

「そしてその中でも、私のよ」

「もういいよ。その話長くなりそうだし。聞くのもだるい」

このまま話を聞けばきっと有益な情報を手に入れることができただろう。ただ俺は教師だ。生徒が嫌がるようなことはしたくなかった。気づいてるか?お前の今の顔、何かに恐れているような顔をしている。

「ダルイって、それが教師のやること?」

「めんどくさいことはしたくないんだ」

心なしか不二原の顔に強張りがなくなっていた。それよか少し口角が上がっている?この顔を見てなお、悪魔だとそういう奴がいるのだろうか。

「もういいわ。私もテストの点やばいし、ちゃんと授業してるなら受けるわ」

「おぉ!本当か!ぜひ来てくれ」

「先生っ!不二原さん。なに話してたんですか?楽しそうじゃないですか」

「あぁ、少しな。そんなことよりもう学校か」

ダラダラ歩いていたからか、いつのまにか学校付近まで戻ってきていた。

「授業の続き。」

「え?まだやるのか。時間外労働なんだが?」

「でも今日の分終わってない。」

「え〜わかったよ。とほほ」

「本当にやるんですか?先生結構生徒想いですよね」

「めんどくさいけどな」

とは言うが生徒が積極的に勉強をしたいと言っているのだ、出来が悪いかもしれないがこの努力はいつか報われる。そう思いその勉強には誠心誠意付き合うことにした。

「ふふ、本当に変な人よ?自覚したら?」


そうして俺たちは教室に戻ってくる。…そして授業を再開したわけだが、

「お前本当にやる気あるんだよな」

「ある。」

ぐだぁーと社会をやり始めた途端こうなった。横で付き合ってくれてる音乃瀬の方が真面目に受けているとはどんな状態だ。

「先生。これどう言う意味なんですか?」

はいっ!と、手を挙げ音乃瀬は俺に尋ねる。俺が犬塚の相手をしている間にも音乃瀬はかなり先まで進んでいるようだった。真面目、だなぁ〜。

「いいか?ここはこれをこうするんだ」

「なるほど、先生教えるの上手いですよね。戦いも見たかったですけど、結構自分で精一杯になっちゃって」

「確かにそうだな」

その通りだった。自信がないような、確証も持ってないそんな戦い方をしているように思った。

「私はやっぱり、、いやいやなんでもないです」

「なんだ?言いたいことがあったら言ってもいいんだぞ?」

「あはは、大丈夫ですよ。ほら愛ちゃんのも見てあげないとですよ?」

そうだな。と犬塚の方を見ると…

「なぁーーーんで寝てんだよブゥォケガ」

「ふぁ。戦いは終わった。」

「どんな夢だよ。起きろ」

「別に寝てない。」

「絶対寝てたらこいつ。全く困った奴だな」

「早く勉強教えて。」

「隣の音乃瀬を見習えよ」

「私でも。来てない五人よりは真面目。」

グゥの音も出なかった。こいつはこいつなりに頑張っているのだ。実力だけではすでに一目を置かせる存在だが、自分の欠点を克服しようと、立ち向かっている。その過程を否定することは俺にはできなかった。

「とりあえず今日はここが終わったら帰っていい。だから最後までちゃんとやるんだ」

「わかりました!」「はぁ〜い。」

この差をどうにかすることはできないのだろうか?

いつのまにか時間も流れ、勉強していた二人はもう帰る時間となった。

「先生ありがとうございました。また明日」

「はい。早く寝ろよ」

「ばい。」

「はいはい。お前も早く寝ろよ」

犬塚は返事すらせず帰って行った。

「本当になに考えているんだか」

一人になったその教室で俺は呟くのだった。…とそんな時俺のスマホが音を出して揺れる。…誰だ?俺のスマホがなることなんて滅多にない。だからそこ恐る恐るその画面を叩いたのだが。


「とにかく先生。そろそろランク。及びランキングの変動試験を開催します。故にこれから数日は残業が増えると思っておいてください」

「いやだ」

俺を呼び出したのは他でもない。この学園の学園長だった。俺はこの人に恩があるしこの人のおかげで教師をやれている。ただそれでも嫌だった。

「いやってなんですか?生徒を想っていると感じていたのですが?」

「それはそうだ。あいつらは俺の大切な生徒ですよ?ただね」

と俺は付け加え告げる。

「残業代出ないじゃないですか、この学園」

「っへ?そんな理由ですか?」

「そんなってなんですか。あまりにも大切でしょう」

わかっている。生徒はお金ではないと。生徒との時間が手に入るならお金なんていらないと俺も本気でそう思っている。ただ本心は、

………あいつらに教えれるだけの実力が俺には備わっていないんだ。困ったことだぞこれは。テストのための勉強ならいける。とそう思っていたが案外そう簡単でもないらしい。犬塚を見ていると手に取るようにわかった。それなのに実力の方とは。

「そうですか、ではクビという選択肢も」

「そんな残業ですら生徒と一緒なら幸せですもんね。協力します。いやさせてください」

「わかりやすい人ですね。それではお願いしますね」

ということで、俺史上初のランキング変動テストが幕を開けるのだった。それと同時にもう一つの問題とも向き合うことになるのだった。

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