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第三話 半月の夜、銃声が轟く

予定より遅れたものの、第三話できました。

この世界に、名は無い。

六つの国があり、三つは人間が、二つは妖怪が、残り一つは人と妖が共存して、それぞれ支配している。

しかしそれはそこに住む者たちにとって六つなのであり、その六ヶ所のどこにも含まれない人妖共に未踏である地では、何者かが凄んでいる可能性があり、もし凄む者がいるのならば、それは七つ目の国が在るということになるかもしれない。

故に、この世界の果てを知る者は誰もいない。

この世界の全体を見ることができた者はいないのだ。

もしこの世界に名が付けられるとしたら、それは国が一つになり、未踏の地と呼べる場所が無くなった時。

しかしそれは、ありえない事。

神が放った、永遠に世界が広がりゆく術によって。




妖怪はともかく怨念には、普通人間は触れることはできない。

しかし、なにかしらの術を掛けられた武具や道具を通してや、対妖怪用の術を使えるような人間ならば話は別だ。

例えば剣。

普通の剣では、怨念を斬りつけるどころか実体を持つ妖怪に痛手を負わせる事すらできない。

一方特殊な剣ならば、実体を持つ妖怪を斬るだけでなく、怨念を斬りつける事もできるだろう。

そういった武器を持つ人間が、最近増えてきている。

こちら側からしてみれば、迷惑極まりない。

そんなわけで私は、そういった人間を中心に殺す標的を定めている。

運が良ければ、その武器を奪う事もできるしな。

そんな事を考えていた時だった。


背後から、銃声が轟く。

弾は普通の鉛弾だったため、私を通り抜けて行く。

もう一発、弾が発射される。

今度は、妖気が込められた弾だった。

すかさず、私はそれをかわす。


怨念は人を喰う事は無いが、生前の出来事から人を殺す事はある。

怨念では無い妖怪は人を喰うため、無駄に人を減らす怨念を毛嫌いしている。

つまり、怨念とそれ以外の妖怪とで、対立関係があるということだ。

妖怪同士の争いは、そういった事から起こるのである。

また、妖怪の支配する国が二つに分かれているのもそれが理由だ。


私に銃口を向けたまま、相手が口を開く。

「よく背後からの射撃を避けれるな」

「一発目が当たるはずの無い弾だったのだから当たり前よ。二発目が来る方向くらいそれで分かるもの」

私はそっけなく(少なくとも自分にはそう思える言い方で)返事を返す。

相手が手に持っている銃は、見た目はハンドガンのように見える。

しかし、相手の見た目は青年であるものの、妖気を放っているために妖怪だと解る。

「あれぇ?一発目も妖気を込めて撃ったつもりだったんだけどなぁ」

「…わざとらしいわね」

私が鎌を両手に持ち、攻撃の態勢に入る。

「そんなおっかない物持つなよ。こっちのやりたい事がやりにくいじゃないか」

…何故だろうか、少しイライラしてきた。

「…斬って良いかしら…?」

私が駆け出し、戦いが始まる。


私の攻撃を避けながら、相手が突如聞いてくる。

「…あんた名前は?」

一呼吸入れてから、私が答える。

「…生前の時の名前は忘れてるし、今の名前も特に決めて無いわよ。というより、普通自分から名乗るものじゃないかしら?」

「奇遇だな、俺も大体同じような感じだぜ」

やっぱり、こいつと話すと何故かイライラする。

怠け者的台詞というか、チャラい口調というか…。

「お?お?何かスピード上がってねぇか?」

「…気のせいじゃないかしら?」

言いつつ、鎌を振るう速度を上げる。

むしろ私が意識しなくても自然に上がっていっているような気もする。

「…やられっぱなしじゃ終わるわけないか」

銃口がこちらを向き、銃声を再度轟かせる。


弾を避けながら斬るのはやはり少し大変である。

しかし初めて、まともな戦闘というものができた気もする。

そんな事を思っていた矢先、互いに攻撃が掠った。

互いの頬に少し傷ができる。

気に留めるような傷では、互いにない。

「相打ちね…。」

「…女の怨念にしては接近戦うまいんじゃないかい?」

互いに、声を掛ける。…気に入らないが。

互いの攻撃が再開する。そう思い、鎌を振るった。


              スカッ


「あら?」

相手がどこかへいなくなっていた。

気配で探してみると、相手は遠くへ逃げていた。

「そろそろ手持ちの弾が切れそうだったんでね。今日は退かせていただくよ」

そんな声が聞こえた。


…何故だろうか、いまいちスッキリしない。

一発もまともに当てる事ができなかったからだろうか?

…考えるだけ、時間の無駄か。

今度合ったら絶対に一発斬るかぶん殴るかしよう。

そう心に決めた。


私のいまいち納得のいかない日の一回目。

願わくば、二回目は無く終わってほしいと思った。

けれどもそれは、限りなく叶う事は無いと後に知ることとなる。

主人公と敵対するキャラクターを出してみました。

主人公は、基本的に怠け者や軽い性格である者が嫌いという設定を出したかったのですが…うまくできてますか?


感想やアドバイスなどをいただけたら幸いです。

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