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空の巣症候群
蓉子は、とにかくヘロヘロになって、やっと家まで辿り着いた。
まさかこんなに疲れるとは、思ってもいなかったくらいの疲労感。
”年だなあ”と、実感せざるを得ない。悔しいけど。
まあ、最初っからハードルが高かったと言えば、そうかも知れなかった。
焦らず、ムリせず、だ。
そう自分に言い聞かせていた。
”大丈夫、蓉子、ダイジョウブ。”
これまでの自分の人生を振り返って見た。
二人の子ども達、何とか大学まで出させる為に、とにかく走り回っていたような気がする。
そして、いざ子ども達が大学を出て就職したら、自分のする事が無くなってしまったような気になってしまった。
こんなのを、世では「エンプティ症候群」とかいうのだろうけど。
いや、「燃え尽き症候群」か。
とにかく蓉子は、子育てに代わる何かを見つけたかった。