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帰るまでが


【冒険者支援ギルド】に登録した、そのギルドプレートが無効にならないようにさっそく依頼を受けた。

フリルと一緒に受けた採集の依頼らしく、ナオリソウというアルカディアオンラインで良く見たアイテムだったため難なく集めることが出来た。


「(そろそろ良いだろう、マーヤ帰ろう)」


フリルに名前を呼ばれて、見ると街の方を指差している、帰ろうってことだろう。

初依頼を無事に達成することが出来そうで良かったよ、帰宅するまで気を抜くなっていう言葉もあるから最後まで油断しないでいよう。


ガサリ


ひときわ葉の擦れる音が響いた。

ん?あの揺れかたは小型のモンスターじゃない、もっと大きいものの揺れかただ。


「フリル」

「(わかってる)」


フリルも音の出た方を警戒していた。

ガサガサと葉を揺らす何かが近付いてきてるのか、段々と音が大きくなってくる。


「(に、逃げてください、モンスターが……)」

「!?」

「(……オットーか?、モンスターがどうしたって?)」


何かから逃げるように男2人が飛び出してきた。

レザーアーマーの人と円盾を左腕につけた鎧の人、2人ともどこか焦っている風で良く見ると円盾は不自然に凹み、レザーアーマーには血がついていた。。

さっきから音を立てて近付いて来たのはこの人達だったようだけど、様子が変だ。


「(赤黒い、見たことないモンスターが……アレックスがあっさりやられた)」

「(嘘だろ、アレックスは確かAランクだったろ)」

「(早く逃げないと、ヤツが……ヤツらがくる)」

「???」


フリルがレザーアーマーの人と話してる間に、円盾の人がその場を離れてどんどんと街の方ヘと進んで行く。

えー、お仲間?を置いていっちゃうの?


「(マーヤ、逃げるぞ)」

「はい?」


フリルが円盾の人を指差している、捕まえるってことかな?

名前を呼ばれたことはわかるけど、その後がわからないから解釈に自信がないが、フリルもなぜか焦ってる。


「(きた、追いつかれる)」

「(逃げるぞ……、クソッ、わからないのか?)」


とりあえず、円盾の人をおいかけようとしたけどモンスターが現れた。


血が凝縮されてるのか、体の一部が異様に膨らみ脈打っている、ホーンラビットと違い頭に角は無かったけど、長く鋭そうな牙を持っているウサギのようなモンスター。


1つ目ネズミに似てるけど、長い爪を持ったネズミ?、コイツも一部が脈打っていた。


スライムかな?、やはり脈打っている部分があり、常に形を変えてるドロドロしてるモンスター。


どのモンスターも赤黒く、普通のモンスターじゃなさそうだ。


「うわ、はやっ」


レーザーのような速度で突っ込んでくるウサギ、直線敵な突進はホーンラビットと一緒だ。

と思って避けたら、地面を蹴ってちゃんとついてきた。


「このっ」


接近してきて、飛び上がって蹴りをいれてくるウサギを避けると、空気を切り裂いていった。

ウサギの蹴りじゃないよ。


ウサギの着地のタイミングに合わせてナイフを突くと、いつの間にかいたネズミに爪で受け止められた。

すぐにナイフを引いた、スライムどこいった?


「(危ない)」


フリルの声が聞こえて、スライムが吹き飛んでいくのが見えた。

投げナイフが2本スライムに刺さっているが、物理耐性が高いのか効いてないようだった。

ナイフが溶けて、柄が落ちて音をたてる。


「(何やってるんだ……なんであの子は逃げないんだ?)」

「(言葉がわからないのよ、やるしかないわ)」


レーザーアーマーの人が戻ってきていた。

フリルと言い争いをしてるようにも見える。


「ガウゥ」

「「((!?))」」


ウサギとネズミが2人に向かっていくのが見えたので、とっさに《咆哮》を使って注意を引くと、モンスター達がターゲットを変えて向かってくる。


壁役(タンク)が欲しい……いないものは仕方ないので自分がやるしかないが、せめて盾があれば違うのに。

ネズミの爪をかわしたところに、スライムの酸弾が飛んできた。

近くにあった籠からホーンラビットを取り出すと酸弾に向かって投げた。

ホーンラビットが溶けて酸弾を潰すことには成功した。


「いまだ!!」


ウサギが突進してくるのを見ながら、素早く他のモンスターを確認した。

範囲内にいることを確認して《震脚》を放つ。

強制ノックバックの衝撃が拡がりモンスター達を捉えた。


吹き飛んでいくネズミを掴んで長い爪をウサギのクビに突き刺して倒すと、すぐにウサギの牙でネズミにトドメを刺した。

後はスライムだけだ。


物理耐性が高そうなスライムは魔法に弱いはずだ、アルカディアオンラインではそうだった。


「《ウインドカッター》」


ノックバックからまだ立ち直ってないスライムに向かって魔法を使う。

風の刃がスライムを切り裂くと体液を撒き散らしながら小さくなっていき、やがて動かなくなった。


「(終わったのか?)」

「(凄い!!)」

「なんとかなったぁ」


喜んでいる2人に手を振りながら一息ついた。


「(お前達、無事か?)」


知らない声に振り向けば、さっき逃げた円盾の人と眼鏡をかけたエルフの男性がいた。


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