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挨拶だよね?


気づけば目の前に柔らかそうな2つの膨らみがある、ガッチリとホールドされて抱き枕状態になっていて体を動かせなかった。

あの後、ミラと一緒に夕飯を食べて部屋でミラに体をふいてもらった。

お風呂なんてものはなく、お湯とタオルで体をふいて終わり。

目の前でミラが服を脱ぎ体をふきはじめたのを見て、お返しとばかりに体をふくのを手伝った。

ミラは着やせをするらしく、凄く大きかったので思わず凝視してしまった。

おそらく、すぐ大きくなるとか慰めみたいな言葉をかけられたと思う。


大きめのベッドが1つしかないし、当然床に寝ようとしたら、ミラに抱き上げられベッドへと運び込まれた。

ふかふかのベッドの魔力に負けてアッサリと眠ってしまったようだ。


ミラを起こさないように抜けだそうとするが、顔しか動かせなかった。

横に顔を向ければ、外はまだ暗かった。


……フニョン


「(うぅん)」


危ない、ミラの胸に頭が当たってしまった、起きなかったのでセーフ。


「スンスン」


動けないので脱出はあきらめて、明るくなるまでもうひと眠りしようとミラに抱きつき直した。

ミラがつけてる香水みたいな良い匂いを吸い込み落ちつく。


ゴーン


また鐘がなった、街では鐘の音で時を知らせてるみたいだ。

今は一回だけだから、一の鐘かな?

昨日は四回、五回、六回の鐘を聞いている。

感覚的には3~4時間で鳴ったと思う。


「(もう起きてたのですか?早いですね)」

「???」


ミラがモゾモゾと動いて、ようやくホールドから解放された。


「(お・は・よ・う、おはよう)」

「おはよう?」


じっとこちらを見つめ同じ言葉を教えてくれるミラ、これは朝の挨拶ですね。


「(やっぱり覚えが良いですね……こういうのはどうでしょうか?)」

「!?」


ミラの顔が近付いてきて唇に触れた!?、少しズレていたような気もするけど、いきなりおはようのキスにはビックリした。


「(顔が真っ赤で焦ってるのも可愛いですね……無理でしょうか?)」


ミラが頬を差し出してツンツンとつついている、これはお返しのキスを待ってるってことだよね。

そういう文化のところなんだろうと、恥ずかしいがミラに挨拶を返した。


「(ちょっとした出来心だったんですが……本当にしてくれるとは)」

「???」

「(何でもないですよ)」


あってるはずなのに何か考えこんでいたミラに、失敗したのかと見上げていたら、頭を撫でられたからからあっていたみたいだ、何を考えてたんだろう。


「(今日はギルドに行きますから、着替えてくださいね)」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


マーヤは言葉を覚えた、おいしい、ありがとう。

ミラが食前には祈りの言葉のようなものを呟いていた、いただきますやごちそうさまはないようだ、簡単な単語ならなんとかなるがさすがに長すぎて覚えきれない。


鐘のなる音が二回した頃には朝食を済ませ、宿を出た。

予測をたてたとおり鐘が生活のリズムとして組み込まれているようだ。

二の鐘で開店とかだと思われる、ミラとでかけた先は青い屋根の建物で西部劇で出てくるようなスイングドア。

わざと大きな音が鳴るように作られているとか本で読んだなぁ。


予想どおりに大きな音が鳴ったスイングドアを内側に開き建物へと入ると中にいた人達が一斉に入口をみた。

チラリと見てすぐに元に戻る人もいれば、じっと見つめてくる人、視線もねっとりと辛みつくような不快なもの、珍しいものでもみたようなものと様々だった。

どの人にも共通していたのは装備に身をつつんでいた、これは冒険者ギルドというやつでは。


「(なんか、テンションがあがってるようですね)」


ミラを見上げれば、ニッコリと笑って受付と思われる場所へと進んでいった。

おそらく、きっと、登録をするのだと思うと少し興奮するよ。


市役所のように区切られたカウンターに座っている人は、みんな美人だった。


「(おっ、来たな)」

「おはよう、フリル」

「おぉ、もう挨拶を覚えたのか、おはよう」


後ろからフリルの声が聴こえたので、覚えた挨拶をしながらフリルのもとへと飛び込んだ。

フリルが受け止めてくれて挨拶を返してくれる。


……チュッ


「(あっ!!)」

「(ふぁ!?)」


おはようのキスをする文化があるので、フリルの頬に狙いを定めてキスをした。

恥ずかしかったけど勢いが大事だ。


アレッ?

フリルが驚くばかりでキスが返って来ないんだけど、何か間違えた?

オロオロしながらミラをみれば、しまったって顔をしていた。

えっ!?、ミラに騙された?なんでそんな顔してるの、あれぇえー


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