営業再開
来年もよろしくお願いします
【満開亭】のお手伝いとして従業員を雇った。
主力の一品でポテトサラダならぬガモンサラダ、マヨネーズを作った。
野営の時に好評だった、ポトフ、柔らかパンを出せば、よほどの事がないかぎりたちうちできないと思う。
「やってますね……どうですか?」
「ひとまず、一品は決まりましたし、作り方は教え終わりましたよ……どうぞ」
「ほう、これは!?」
顔を出したオービルさんにガモンサラダを味見してもらった。
一口食べて目を見開くとあっという間に食べきってしまった。
「あと引く味というますか、これがあのガモンですか?」
「美味しいでしょ」
「上についてたソースも、知らない味ですし……」
「後は野営の時に好評だったスープとパンをつけて銀貨3枚、スープは時間制で飲み放題とか考えてますけど」
もっと高くても良いと言われたけど、屑野菜からブイヨンを作るだけなので30分くらい煮て、アクをとって漉すだけなので、材料は格安で済む。
元の値段を知ってるだけにこれ以上の値段をつけるのはボッタクリ感が強くなってしまう。
「ガモンサラダとパンのAセットが銀貨1枚、ポトフとパンのBセットも銀貨1枚、ガモンサラダとポトフとパンのCセットが銀貨2枚……時間制ポトフ飲み放題、パンとサラダをつけて銀貨3枚、おかわりのパンとサラダは有料」
話し合いの結果、値段が決まった。
オービルさんが話し合いの最中もマヨネーズの味に首をひねっていたのはおかしかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「【満開亭】、今日から営業再開です、良かったら来てください」
「来てください」
お店の開店を知らせる為に、店はミリアとルナールに任せてメロディー、シンと呼び込みににきた。
メロディーは常連客の元を回ってもらって、シンと2人で冒険者ギルドまできた。
呼び込みを行いつつ、クエストボードの隅に告知を貼らせてもらった。
「マーヤさんは、レッドボアって知ってますか?」
「知らないです」
「ワイルドボアよりも体が大きく、鼻が赤くて牙も鋭くなったモンスターなのですが……近々ヨミ平原から溢れるかもしれません」
「溢れるって?」
「ミスト王国ではないのですが、【ボアのダンジョン】がありまして……管理されてない地域にあるので手が出せないのですが、ダンジョンから溢れた個体がヨミ平原を通ってアランまでやってきそうなのです」
中立地域にあるため、一つの国が管理することは出来ないらしい。
ダンジョンからモンスターが溢れたら周辺国で話し合い鎮めるためにダンジョンに入り浸る流れらしい。
溢れるモンスターが美味しいようで、【ボアのダンジョン】は討伐不可ダンジョンのようだ。
受付の人にレッドボア狩りの緊急依頼がその内発令されるかもしれないってことを聞いて【満開亭】へと帰還した。
【満開亭】へと戻ると戦場だった。
店内に入りきらないお客が長蛇の列を作っていて、周りの店に迷惑をかけていた。
「メロディー、急いで列の整理をして……シンは裏から店の中に入るよ」
「「はい」」
初日からこんなに人が来るとは思わなかった。
シンと一緒に裏口に回って厨房へと入った。
「Bセット2つ、……あと飲み放題エリアのポトフが無くなりそうですけど、どうしましょう?」
「どうしようって言われても、ここは離れられないし、そろそろ皿も無くなりそうだしマーヤさん達が帰って来ないと明らかに人が足りなさすぎでしょ」
「ただいま」
「「遅い」」
「完全に計算間違いだったよ……状況は?」
手を洗い、《クリーン》の魔法で体をキレイにしてもらいながら、報告を受けた。
「シンはブイヨン作りに入って、わたしはスキルで出来るだけポトフを作るから。メロディーは皿洗いね」
「「はい」」
ルナールとストーブ前を代わりスキルでポトフを作っていく、その間に少しルナールを休ませて、ある程度ポトフが確保出来たらルナールに任せてストーブ前を離れた。
メロディーはすすぎ用と皿洗い用、汚れた皿をためておく用と桶を3つ用意して効率よく洗っていた。
大量に積まれた皿がみるみるうちに片付いていく様は凄かった、メロディーに任せておけば大丈夫だろう。
ある程度落ち着いたところでシンに材料を倉庫に取りに行ってもらい、ホールに顔を出してミリアの手伝いでウエイトレスとして忙しく動いたおかげで四の鐘を乗りきった。
食堂は三の鐘から四の鐘までの4時間だけ営業なのをはじめて知った。




