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ランクアップ


 ブラウン商会の調査を終えたあとは商業ギルドに行くことになっていた。

 商業ギルドは王都で登録はしてあるが、商売をするにあたり更新しといた方が良いようだ。


「いらっしゃいませ、本日はどのようなご用件でしょうか?」

「商売をするので更新をお願いします……これが紹介状です」

「拝見しますね……少々お待ちください」


 商業ギルドの中に入ると珍しいものでも見たような視線を集めたが、すぐに声をかけてくれた受付嬢のおかげか一瞬で元に戻った。

 声をかけてきた丸ミミの受付嬢のもとへと近づいて、オービルさんから預かった紹介状を渡した。

 受付嬢はサーッと紹介状を読むと必要な書類を用意するのか、席をたった。


「お待たせしました、これに書き込んでください……読み書きは大丈夫ですか?」

「大丈夫です」

「では、書きながら聞いてください。マーヤ様は今回、どのランクまで上げる予定ですか?」

「今回はお手伝いだけですが、そのうち店も持てるようにしたいですね、どのランクが良いのかわからないのですけど」


 ランクによる制限は、最初の登録の時にある程度聞いていたが、購入特典が少しつく最低ランクにしていた。


「それだと、最低でもCランクは必要です」

「最低ですか?」

「はい、この街だけの活動ならCランクで店をかまえることが出来ます、Dランクは移動屋台が最適です……店の売上げには届かないけど屋台よりは稼げる時ですね」

「なるほど」


 オービルさんからの紹介状には出来ればBランクって書いてあったようだけど、Bランクになるためにギルドにおさめるお金が年間金貨10枚。

 初回は更新料と年間分の金貨を払うので倍の20枚になる、これに魔石代や場所代や建物代や内装工事をしたりするので、おまけして欲しいようなことが書いてあったようだ。


「Bランクですと、他の街を含めて10店舗まで店を持てるので、Cより上を目指す気があるならBランクにしとく方が良いと思います。」

「んー、じゃあそれでお願いします。」


 冒険者ギルドのカードを重ねリンクさせることも出来るようなのでリンクをして、冒険者ギルドカードの方に入れてあったお金で金貨10枚分は先に払った。

 残りはオービルさんが払って、毎月店の売上げから返していく形になっているようだ。

 売れることを確信しているというか、フットワークが軽いというか、いつの間にここまで話が進んでいたのかと思わないでもない。


「従業員についても書いてあるけど、何人ぐらいいるんだい?」

「そうですね、メロディーが、皿洗いで厨房にこもるとして、配膳と会計でホールスタッフ3名、厨房に補助1人が急いで欲しい」

「ふむ、4名だね」

「とりあえずは」


 メロディー父の怪我が治るまで、治ったあとは新しく出す店の従業員にも出来るから、研修になるので多くても問題ないようだ。


「募集は出しておきますので、3日後にまた来てください」

「わかりました」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 従業員募集のお願いをギルドに出してから営業再開の準備を整えていった。

 オービル商会から調味料系を買い揃え、香草の確保とメニューの改良店内のレイアウトの変更をしていたらあっという間に3日経った。


「はじめまして、チャキと申します」

「マーヤです、よろしくお願いします」


 商業ギルドにつくと、チャキさんを紹介してもらった。

 チャキさんはロマンスグレーの頭髪をオールバックにしている、公爵家でバトラーとして働いていたこともあるらしい渋いおじ様だ。


「募集は4名ということでしたが、応募が多かったため候補者を絞ってはいますが、残りは面接をしてみてということになっています。」

「3日でそんなに集まったんですか?」

「募集条件が破格だったのもありますが、年齢の条件が無かったため殺到したようです」


 3日で600人ぐらい集まったようで、書類審査をして問題無さそうな人を30人まで絞ったようだ。

 普通の条件にしたつもりだったが、それでも破格って異世界はどれほどブラックなのと思うが、これから面接をするらしい。


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