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ブラウン商会


 経験値アップをとったのだから、料理人のレベル上げをするためにオービル商会へと来た。

 オービル商会にちょっかいをかけている輩がいるようで、特殊な食材を扱うメロディーの父が被害にあったらしい。


「ここが、【満開亭】です」


 オービルさんとメロディーに連れて来られた店はテーブルが5つ、カウンターが10席の広さの店だった。

 しばらくあけて無かった店内には埃などはみあたらなくて、しっかりと清掃が行き届いていた。

 宿の名前とか日本語っぽい名前の店をたまに見かけるのは異世界人(同郷)の影響なのだと思う。


「これなら、なんとかなりそうです」

「そうですか、人の手配はどうしますか?」

「メロディーは何が出来るの?」

「ひと通りは出来ますけど、見ての通り獣人ですので表には出ない方が良いと思いますが」

「??……じゃあ、配膳出来る人が2人、厨房にも1人いるから3人で」

「では、そのように」


 オービルさんがサラサラと必要な項目を記入すると木札を部下に渡した。

 

「あんたが、助っ人かい?しばらく頼むよ」

「任せてください」


 部下の人と入れ替わりに姿を見せた人が怪我をしたというメロディーの父らしい。

 人族に見える、手と足に包帯を巻いていた。

 ポーションが効果を発揮しないほど複雑に折られたらしく、つなげるのが精一杯だったって話だ。


 メロディーの父から特殊食材で気をつけないといけない物だけ聞いておいた。

 流石は異世界、スプオニンという植物系の魔物が隙をついて逃げ出そうとするらしい。

 持ち込まれるホッピングがたまに生きてる時があるから1度炙ってから使うのが良いらしい。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 メロディーの父に、店で出していたメニューを聞いたりしていたら、あっという間に時間がたったので、【満開亭】で泊めてもらった。

 今日は青年に教えてもらったお店に行く事にした。


「おや?言いましたっけ?……行くなら念の為に変装して行ってください」

「何かあるんですか?」


 オービルさんから変装用の装備を受け取り、頭に巻いて耳を隠し、ゆったりとしたローブを目深に被りながら聞いた。

 どうやら、これから行こうとしてるところがメロディー父を襲撃した連中を雇った商会らしかった。

 ついでにいうとオービル商会にちょっかいをかけ、“炎槍”が名りすましていた聞いたことのない商会でもあるらしい。


「気をつけますよ」


 オービルさんに答えて、商会へとでかけた。


「すいません、すすめられて来たんだけど見せてもらって良いですか?」

「どうぞ、ご自由に」


 ブラウン商会へと着いた、やる気の無さそうな店員が店前を掃いていたので、一応声をかけた。

 ブラウン商会のラインナップはオービル商会と同じく食品系が多いが、薬や雑貨等、幅広く扱っていた。

 むしろ手を出し過ぎな感が強い


 名称:回復薬(ポーション)(劣)

 効果:薄めた回復薬、使用してから1分後に1%回復


 手にとった回復薬(ポーション)を鑑定してみると劣化品であるらしい。

 回復薬(ポーション)は定量回復が多いので、%回復という意味では良い品と言えるかもしれないが、ステータスが高くないと効果は感じられないはずだ。


 店内を鑑定しながら見回ってみたが、どれも何かしら手が加えられているのか、劣化品ばかりだった。

 この店を良い店と教えてくれた青年はステータスが高いのだろう、そして教えてくれたってことはマーヤのステータスが高いってことを見抜いたのかもしれない。


 ブラウン商会を訪れてわかったのは、青年の謎と何故劣化品が多いのかの謎があることだった。

 特に買いたいものも見つからなかったのでブラウン商会をあとにした。

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