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スキルスロット


 商業都市アランへと到着した、盗賊の装備を売りに教えられた通り進むとすぐにそれらしき建物が見えて来た。

 赤い屋根の剣の看板を掲げているのが武器屋、隣の青い屋根の盾の看板を掲げているのが防具屋だと思う。


「いらっしゃい」

「売りに来たんだけど、何処に置けばいい?」

「こちらへお願いします」


 店に入るとすぐに声をかけられる、値踏みするような視線に目的を告げると、まずいと思ったのかすぐに隣のテーブルの上を指示されたのでそっちによると、店員もテーブルへついて来た。

 グラドから預かった魔法の袋から盗賊の装備を出して、テーブルの上に並べていった。


「随分多いですね」

「盗賊を倒したので」

「そうですか……『我願うは、魂宿りし武の力……《武器鑑定》』」


 店員が武器に手をかざして呪文を唱えると武器が輝いた、武器を鑑定するスキルかな?


「コレとコレは耐久値が悪いのでマイナス査定になりますよ、他のは大丈夫ですね……鉄の剣が13本で51000ミスト、ミスリルの槍が5本で20000ミスト、ミスリルの剣が10000ミスト」


 耐久値ってのは《鑑定眼》では出て来なかったので、耐久値がわかるスキルなんだろう。

 なんとなくながめていたら、他とは違う武器の情報が見えた。


「あれ?……プラス1ってなっているのと、空きスロットがあっても同じ値段なの?」


 名称:鉄の剣+1


 名称:鉄の剣●○


 強化された鉄の剣なのかプラス1ってなっている、スキルスロットなのか○のマークがあって、ひとつは●使用済みなのか黒くなっていた。


「?お客さん、こいつには何もスキルなんてついてませんぜ」

「いや、空きスロットがあるから、なんかつけられるんじゃない?」

「空きスロット?……わけわかんないこと言って値段を釣りあげようとしたってダメですからね」


 《武器鑑定》ではスキルスロットはわからないようだ、金貨8枚と銀貨1枚を受け取ると隣の建物へと移動した。


「いらっしゃいませ」

「売りに来たんだけど」

「買取ですね……どうしたました?私の顔に何かついてますか?」

「武器屋の人と同じ顔だと思って」

「あぁ、あっちは兄ですね」

「なるほど」


 武器屋から扉をあけて防具屋に移動したのに同じ顔に出迎えられたので少し混乱したが兄弟で武器屋、防具屋をやっていたようだ。


「『我願うは、魂宿りし守りの力……《防具鑑定》』」


 武器と防具でも違うスキルのようだ、耐久値はわからないが《鑑定眼》で武器と防具の鑑定がある程度できて、他の人には見えないスキルスロットと強化が見える分お得と思おう。

 防具も売り終わった、代金を受け取ってしまうと冒険者ギルドへと急いだ。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 防具屋から冒険者ギルドのある方へと移動をすると、商業都市というだけあって祭りの時のような屋台の多さに、足を止めそうになったが誘惑を振り切り、なんとかたどりつくことが出来た。


 向かいの宿の1階が酒場のようで、待ち合わせ場所だ。

 スイングドアを通って周りを見ても、グラドもハントもまだいないので少し奥へと進んで、空いてるテーブルを選び席についた。


「おっ、早かったなマーヤ」

「おかえり」

「俺達が最後か?……マーヤもエールで良いのか?」

「どうせ飲むなら甘いのがいい」

「エール5つと、蜂蜜酒、腸詰めとオススメを10人前頼む」


 なれてるのかグラドが料理をぱっぱと頼んで席についた。


「今回はかなりヤバかったが、マーヤのおかげで生きのびる事ができた、犠牲もでたが死んだヤツラの分まで生きていかなきゃいけない」

「……」


 “黒の剣鬼”はルシールが軽い怪我をしたくらいで済んでいるが、“白狼”はハント、ケイが一時重体になり他のメンバーはやられていた、ソロの冒険者3名も亡くなっているので、犠牲者は7名ということになる。

 冒険者達の遺品はギルドに渡して来たので家族に届けられるそうだ。


「俺達はすぐには活動できないが、アイツらの分まで頑張らないとな」


 “白狼”はしばらく活動停止のようだ、メンバー集めからだから時間がかかるのだろう。


「マーヤはどうするんだ?」

「オービル商会にでも行ってみるよ」

「あの話受けるのか?」

「一応」

「そうか、楽しみにしてるよ」


 この世界の料理技術が上がれば美味しいものが食べれるようになるし、少し協力するくらいアリだろう。

 報酬と装備を売ったお金を別けると、夜まで打ち上げが続いた、黙々と飲むヴォルガノフさんが全員を酔い潰す程の酒豪って事がわかったが、運ぶのは手伝えないので、悪いとは思ったけど、ルシールを最初に運んでもらったら早々に部屋に引っ込んだ。

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