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護衛


久しぶりにアリス達と会えて楽しかった。

アリス達が休みのあいだ一緒に屋台巡りやショッピングなどをして楽しんでリフレッシュも出来たし、アリスと一緒に装備を買ったり充実した数日だった。

ストレスなく会話が出来るのはいいものだ。


「えー、マーヤ行っちゃうの?」

「そうなんだよ、出発は明日だから今日が最後なんだ」


冒険者ギルドで丁度【商業都市アラン】までの護衛の依頼があったので受けた。

Cランクにあがるためには、護衛依頼を一回は受けなければいけないので、アリスから聞いていたこともありアランに行くことを決めた。

リンカちゃんが惜しんでくれたけど、必ず戻ってくると約束して、しばらく会えなくなるからとリンカちゃんと一緒に寝て遅くまで話こんだ。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「じゃあマリア行ってくるよ、今までありがとう」

「気をつけてね」


冒険者ギルドでマリアと別れを済ませた後は、依頼主との待ち合わせ場所へと向かった。


「あの、護衛の依頼を受けたんですが」

「はい、少女の外見のエルフ……話は聞いてますので、しばらくお待ちを」

「はい」


馬車へと荷物を積み込んでいる集合場所で偉そうな人に聞いてみたら、まだ準備は出来てないようだった。


「あんたも護衛の依頼かい?」

「そうです、マーヤって言います。あなたは?」

「俺達も受けたんだよ、俺達は“白狼”ってパーティーだ……リーダーをやってるハントだ」


“白狼”はBランクパーティーでミストには修行の旅に寄っていたようで、そろそろ次の場所へと移動しようってことで今回の依頼を受けたらしい。


「それにしてもケイ、さんの格闘家(グラップラー)って珍しいですよね」

「ここら辺じゃ確かに少ないけど、地元には多いよ」

「へぇー」


アルカディアオンラインでは武闘家からの変異派生が格闘家(グラップラー)で、だいたいは格闘家(ストライカー)の職業が解放されることになっていた。

どちらでも最終職の破壊者(デストロイヤー)にいきつくが格闘家(グラップラー)を経由した方がステータスが高かった。


「お待たせしました、準備が整いましたので出発しましょう」

「あともう1パーティーくるんじゃなかったのか?」

「“黒の剣鬼”には先行してもらいました、中継地点で合流しますので」


“白狼”の6人にソロが3人に“黒の剣鬼”ってパーティーで護衛するはずだったみたいだが、盗賊団が流れてきたって情報を掴んだ“黒の剣鬼”が先行したようだ。

フラグのような情報を入手したが護衛の仕事を頑張ろう。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


護衛任務は順調で問題なくアランへと進んでいた。

街道にはモンスターは滅多に遭遇しないようで、見かけたのは角兎(ホーンラビット)が数羽にフラウバードという鳥ぐらいだった。

《鑑定眼》の練習をしていたら、たまたま繁みの中に角兎(ホーンラビット)の文字が浮かびあがったので発見出来た。

“白狼”のメンバーがすぐに仕留めてくれたけど、血抜きを知らなかったので、血抜きと解体をして野営の時の御飯に変わった。


「マーヤさんは素晴らしい、角兎(ホーンラビット)がこんなに美味しくなるなんて」

「血抜きして香草使えばこれくらい普通ですよ」

「それだ、なんで血を抜いたら旨くなるんだ」

「ええと、肉が悪いと臭みが発生するんですけど、肉が悪くなる原因の1つに血が関係してます」

「ほぉ」

「血って実は腐り易いんですよ、だから肉から血を抜いたら少しはマシになります。雌なんかは獣臭いんで、それを上回る臭いでマスキング……上書きしてあげれば気にならなくなりますね」


依頼主のオービル商会の人が血抜きについて聞いてきたので説明した。

香草は鑑定で香草に使えると出たバジルに似たモノを使ったが、雑草扱いなのか道端にかなり生えていたので集めておいた。


職業を料理人にしたことで使えるようになった料理魔法ってのが凄く便利で、大きくわけて《調理》、《加工》、《促進》の3種類があった。

《促進》で発酵を促してやればあっという間に天然酵母が作れたし、一度作った料理なら材料さえあれば《調理》でいきなり完成品が作れる。

魔力の減りが大きくなるのと、品質も下がってる気がするが大量生産も出来ることを考えるとこんなもんだろう。


《メニュー》によって解放した《再設定》のスキルで職業ギルドに行かなくても転職出来るのは大きい。

アルカディアオンラインの時のように廃プレイするよりも、今はこの世界に慣れる方が先と頭を振る。


「今でもチート気味だしね」

「なんか言ったか?」

「なんでもないよ」


長命で有名なファンタジーの代表のエルフになってるので先は長いと思う、まったり、のんびり行こう。

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