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デート


マーヤは数字を覚えた。

数字はギリシャ数字をくずしたような感じだったので覚えるのに苦労しなかったのが救いだ。


今日は街の外にはいけないのでどうしようかと思ったら、リンカちゃんが街を案内してくれるようだ。

昨日のクエスト達成でお金はカードの中に入ってるので、お礼にリンカちゃんに何か買ってあげよう。


リンカちゃんと最初に向かった場所は洋服屋だった。

明らかに使われた形跡がある洋服や、継ぎ接ぎのある生地等が売っているようだ。


「(ここの古着屋さんは安いんですよ……うーん、マーヤさんには翠系でしょうか?、でもこっちも可愛いし)」


楽しそうに服を選んでるリンカちゃんを横目にプレゼント用の服を選ぶ。

ミラと一緒に行った店と違ってワンピースが多めだった。


「宿だし、清潔感があるのが良いな……普段使いはコレに刺繍でもして可愛くしよう」


リンカちゃんはまだ真剣に選んでいるので、店員に針と糸が欲しいってジェスチャーして案内してもらった。

目的の物をさっさとカードで購入すると洋服と針と糸を収納の腕輪に入れた、スーっと入っていくのが少し面白かった。


さて、リンカちゃんの方は終わったかな?

リンカちゃんが消えてて焦ったけど、いつの間にか別コーナーにいた。


「リンカ……!?」

「(うわぁ、うわぁ……)」

「リンカ!!」

「(マ、マーヤさん!?)」

「黒パンツ、いいえ、赤パンツ、いいえ、リンカ、白パンツ、はい」


リンカちゃんが見てたのは下着コーナーだった、文明的にドロワーズを想像してたけど、地球で良く見た普通のパンツがあるのはなぜ?

とりあえず大人パンツはリンカちゃんにはまだ早いので、扇情的な下着やGストリングを止めさせドロワーズをすすめといた。

わたし、良い仕事したよ。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「(ビックリした、マーヤさん声大きいよ)」

「???」


顔を真っ赤にしたリンカちゃんに手を引かれ、逃げるように店から出た。

しばらくして落ち着いたリンカちゃんが、ゆっくりと歩くようになった。


きゅるきゅるきゅる


「!?」

「(お、お腹空いたね、そろそろ御飯にしようか?)」

「ゴハン、はい」


リンカちゃんの可愛らしいお腹の音がきこえてきて、御飯を提案されたので今度は御飯。

この街で御飯と言えばギルドのそばにある大衆食堂のような場所と、リンカちゃんの宿の酒場スペースで食べたのと二ヶ所しか知らない。

リンカちゃんが向かった場所はどちらでもないようだった。


「(ミンファおばさん、こんにちは……いつもの2つお願いします)」

「(あいよ)」


リンカちゃんと空いているテーブルに腰かけて待っているとシチューのようなドロリとしたスープとパン、サラダが運ばれてきた。


「(マーヤさん、美味しい?)」

「美味しい」


パンにスープをつけて少し柔らかくしてから食べると絶品だった。

リンカちゃんの真似をして食べていると視線を感じた。


「(お前、その耳は本物か?)」

「???」

「(ジン、この子はあまり言葉がわからないのよ)」

「(そうなのか、リンカ?……で、本物なのか?)」

「(エルフって意味で聞いてるならそうよ)」

「(そうなのか……おいお前、俺に魔法を教えろ)」

「???」


食べるために被り物を外していたからか、耳辺りに視線を感じた。

ピクピクと動かしながら食事を続けていたら、後ろから大きな声がしたけど、すぐにリンカちゃんが間に入ってくれた。

やりとりからしてリンカちゃんの知り合いっぽいけど、なんかあったのかな?


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


食事を終えた後には、なぜかリンカちゃんの知り合いらしいジンって子がついてきた。

リンカちゃんとのデータが終わってしまって少し残念。


とりあえずギルドに行ってマリアを呼び出して、通訳をしてもらった。

ジンは魔法が上手く使えないって言ってたらしい、エルフは魔法が得意な種族だから上手く使うコツを知りたかったようだ。


アルカディアオンラインでは近接も遠距離もいろんなキャラで遊んでたので、殴り僧侶や避けエルフ等の魔法特化キャラでの縛りプレイをしたけど、ゲームではコマンド1つで魔法が使えて、クールタイムが生じるから別の魔法で繋ぐってのが可視化されててわかりやすかった。


リアルというか、異世界にきてからはクールタイムの上手い繋ぎかたとかわからないよ、なぜか初級スキルしか使えないからね。


「(なに言ってるのか、わからねぇよ)」


え?、攻撃魔法のことじゃないの?

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