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紫陽花(社長編)

作者: 日下部良介
掲載日:2020/05/28

観月さんが連載中の『習作・短編の部屋』45話(花言葉ものがたりより「紫陽花」)において、ボクがリクエストした“紫陽花”で一話書いてくださいました。そのお返しに書いたコラボ作品二話目になります

「妻にはうまく言っておいてくれ」

 私は秘書にそう伝えて組合の会議へ出掛けた。




 この秘書とは長い付き合いになる。元々大学時代の同期でもある。私がこの会社を立ち上げられたのも彼のおかげだ。

「共同経営者ということでいいじゃないか」

「俺は経営者というガラじゃない。裏方の方が性に合っている」

 それ以来、彼は秘書として私を支えてくれている。




 会議の予定は前々から決まっていた。そこに大事な取引先の会長から会食の申し出があった。

「あいにくその日は会議の予定が…」

 会長の返事は解かっていた。

「だったら、佐奈さんだけでも構わないよ」

 ほら、思った通りだ。彼の目当ては妻の佐奈なのだ。本当は妻にこんなスケベジジイの相手などさせたくはない。しかし、彼の会社との取引が無くなるのはわが社にとって大きな痛手となる。佐奈もそんな会社の事情を理解してくれているから、文句も言わずに引き受けてくれる。ただ、今回は私が一緒に居られないのを伝え忘れていた。それに関しては秘書が上手くやってくれるだろう。何しろ、妻と秘書も付き合いの古い友人でもあるのだから。


 行きつけのバーで初めて佐奈と出会った。彼女は彼と一緒に来ていた。

「若い彼女で羨ましい」

 私がそう言うと彼は彼女を「近くのカフェで働いている子」だと紹介してくれた。二人の様子を見ていても恋愛関係にあるようには見えなかった。彼が席を立つと彼女は「連絡先を交換したい」と申し出て来た。それから私は彼女と親しい関係になった。結婚することが決まった時、彼も祝福してくれた。それ以来、彼は私の秘書であるとともに妻の秘書でもある。ある意味、妻のことは私よりよく知っているかもしれない。


 会議が終わると私は妻にメールした。

『今日はすまない。そっちは上手く行ってる?』

『大事ありません』

 出来た妻で本当に助かる。この妻といい、秘書といい、私は人に恵まれている。つくづくそう思う。



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― 新着の感想 ―
[一言] コラボしてくださったりがとうございます。 社長もいい人ですね。すっかり騙されてます……。 しかし、こんな人だからこそ、秘書くんは裏方に徹して尽くしているのかも!?
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