私たちは幼なじみ
今朝も天気が良くて気持ちがいい。
玄関の姿見で全身をチェック!うん、大丈夫。
「いってきます。」
「いってらっしゃい。夕方雨が降るみたいだけど傘持った?」
「学校に折り畳み置いてある」
玄関まで見送りに出てきてくれた母に手を振り足早に待ち合わせ場所に向かう。
待ち合わせはうちの神社の鳥居前。
鳥居には誰もいない。今朝も先に着いたのは私の方みたいだ。
中学生の時に理玖が部活の試合や遠征に行ってしまった時以外、小学生の頃から変わらない毎日の光景だ。
それにしても私と理玖は不思議な縁がある。
フランスからお嫁に来た母には、日本に知り合いも友達もいなかった。
寂しそうな母に、父が歳が近いお隣の理玖のお母さんを紹介すると、すぐに意気投合!仲良くなったという。
理玖のお母さんが少しフランス語が話せたことが良かったみたいだ。
そして妊娠時期もほぼ一緒、そのため定期検診も一緒に行き、出産日も私の方が2日早いだけ。
私と理玖はお腹の中にいる時からの長い付き合いになり、物心ついた時にはいつも理玖が一緒だった。
幼なじみで幼稚園のときから今までクラスも一緒だと、周りからはキセキ扱いされてしまうが、本当に奇跡に近い偶然だ。
登校から下校まで一緒なので、付き合っているのかと何度勘繰られたことか‥‥
しかし残念ながら、ただの幼なじみだ。
「はぁ‥‥」
私は‥‥‥‥
理玖が好き。
男の子として、好きだと思う。
理玖にとって私は、妹ポジションとしか見てもらえていない。
今の関係を壊したくないから、想いを告げるつもりはない。
でも、関係を変えたいという思いが強くなってきたら、私たちはどうなってしまうのだろう。
ポン!
と、優しい感触で頭に暖かい手の温もりを感じて思考が中断された。
「よっ!何朝からため息ついてんだ。」
「あ!理玖おはよう。」
気付いたら目の前に理玖が立っていた。
「ため息ついてんと幸せが逃げるって言うぞ。」
「大丈夫、大丈夫。ほら私って神様に愛されてるから。」
「バチ当たりな奴だなぁ。ほら、遅刻するぞ。」
「理玖がもっと早く起きればいいんでしょ!」
私たちは笑いながら学校に向かう。
車道側の半歩前を歩くのが理玖のいつものポジションだ。
普段と変わりない会話と距離。
やっぱりこれを壊す事は、私には出来そうもない。




