表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/8

パート3-2

こんな人生、もう嫌だ。そう、不満を抱くクウ。私を巻き込んだ張本人は、首を傾げている。QさんはテネとIさんと恋人関係であると言ったことが通じていない。だから、テネは何を言っているのか理解できないでいる。その結果が態度に現れたのだろう。その仕草でQさんたちの怒りをあおることになると気づいてよテネ。


「首を傾げても無駄よ。洗いざらいさっさと情報を吐きなさい。この馬鹿女。そんな仕草してもアンタみたいなヤツがモテるわけがないじゃない。」


Qさんの取り巻きの一人がテネの肩を押した。そして、みんなで笑う。急に肩を押されて反応が遅れたテネは、床に倒れこんだ。ドサッと大きな音が立つが、テネはどこも怪我をしていないようだ。すぐに、起き上がってQさんたちに文句を言った。


「いたーーい! もうっ、なにするのよ。そんな厚化粧していて、魅力が半減した女なんて誰も相手にしないよ。性格もブサイクじゃんっ! 六人でしか行動してないと何もできないから、群がってるサイテー女。バーカバーカ!」


怪我を心配する必要もないくらい、ピンピンとしている。しかし、私はこれ以上彼女たちに事実を突きつけた言葉の刃を彼女たちに向けるのはよろしくないと思い、テネの口を急いで塞いだ。今の発言もギリギリ……、いや、完全にアウトだけどね。モゴモゴと口を動かしてまだ何かを述べているテネであるが、私が口を塞いでいるために言葉にはなっていない。


テネ、相手に向かって指をさしたら駄目でしょう。Qさんに背を向けて、両手で口を塞いでいる状態だからどうにかすることは残念ながらできない。あぁ、最悪だ。私はもう、他のことに思考を巡らせる余裕はない。いわゆる、現実逃避をし始めた。相手をあおってどうするのよ。なんで、自分が責められているのか分からなくても、空気くらい読んでよね。それが、無理だから、相手をヒートアップさせてしまうのだろう。泣きたい。


思考の渦に飲まれている中、いつの間にかテネの口元から手が離れていた。Qさんたちもテネに言われた内容について屈辱を受けたためか、彼女たちは、ある行動をとる。私は、すぐに教室の隅に避難したよ。Qさんに追い払われたからでもあるけど……、その点は助かったよ。テネと六人の間に挟まれて口論を聞きまくるのは、御免だからね。



彼女たちのある行動というのは、お察しの通り、テネに対して暴言を吐くことである。


「ムカつくのよ。何もわからないって白々しい面をして!」


「行動も幼稚だし、たいして可愛くないくせに……。」


「計算高いただのアホ女じゃん。しかも、話が通じない、空気読めない女なんて、存在そのものが迷惑以外の何者でもないわよね。」


いろいろ、辛辣すぎる言葉が並べられる。私も聞いてて共感することはあった。最後の人が言った内容で計算高いは別として、その他の言葉はとても納得ができる。でも、そろそろ論点がずれていることを察して、話をもとに戻そうよ。




罵り合い大会に発展して、1時間が経過した。初対面同士なのに、そこまで暴言が出てくるってある意味で強烈な経験だよね。ほら、初対面で罵り合いなんてする人はほとんどいないからね。私からしたら、よくそんなにも初対面の人の悪いところが思い浮かぶのか不思議だ。嫌なめに現在進行中であっているから見つけられるのかもしれないけどね。最後の方は、Qさんとテネの言い合いで、同じ内容を言っていたよ。


厚化粧、化け女や頭の中お花畑アホ女、老けてる癇癪女って最悪、このクソガキなどなど、悪口のオンパレード。そろそろ飽きてもいいと思うけど、相手の悪口なら人間は永遠に言葉を吐き続けられると言うことが今回、分かったよ。こんな変な学びはいらないけどね。



ここで少し話は変わるけど、Iさんの話はまた今度になりそう。だって、テネは今日用事があるって言ってたもの。なんか、よくわからないけど、麻婆豆腐10人前食べてくる予定があるらしい。10人前とか大食いの人間でないと、無理だってわかるのに、試してみるのって意気込んでいたよ。お金の無駄遣いでもあるし、食品が無駄になるし、作ってくれた人にも迷惑になるよね。でも、そこは問題ない。何故かは聞かなかったけど、本人が大丈夫って言うなら平気でしょう。



余計な首は突っ込まないが吉。でも、今回は突っ込んでおいた方が良かったかも。ゼーゼーと息を吐き、二人が吐く息の音のみが聞こえる空間。それを壊すのはテネである。息が整ったのだろうか。


「付き合ってらんないからっ!! 今日はクウちゃんと麻婆豆腐食べに行く予定があるのよ。」


彼女はそう言い出した。私の思考は一度停止した。しかし、次の瞬間には大きな声を上げてしまっていた。


「はぁっ!?」


さらに、六人の女の子たちを気にせず勢いに任せて言ってしまう。


「あんた、何言ってんの! 10人前なんて私も食べることができるわけ、ないでしょうがーー!!」


「クウちゃん。厚化粧、化け女の癇癪が移ったの?」


心底不思議そうな表情をするテネ。ビキッと青筋が立ったよ、今。私以外にあんたの近くいる彼女も般若のような顔をしているわよ。いつか、知らない誰かに刺されないかしら……。今こんなこと考えていたって、先のことなんて誰もわかるはずないや。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ