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パート2

ある日、テネちゃんに告白する強者が現れた。


「テネさん、僕と付き合ってください。」


そう、一人の男の子は言った。お決まりのパータンで、よく使われる言葉である。しかし、その子は勇気があり、教室にいる生徒たちの前で彼女に告白した。その勇気も可哀想なことに報われないのだけれど……。彼が彼女に告白した後は、もうあなたたちがお分かりの通りで、教室中が一瞬で静かになった。騒ぐ人はおらず、固唾を呑んで見守っている。そのような中で、テネちゃんの反応は、とても軽いものであった。


「いいよーー。」


彼女はすぐに返事をする。教室中が彼を温かい目で見た。きっと、恋人関係になれてよかったね、というお祝い。しかし、彼女が彼の心中を察しているわけがない。また、他の人たちも彼女のことを噂でなら、知っているはずだ。この時、教室にいる子たちは、クウちゃんとその他数人を除いて、テネちゃんがどういう人であったのかを忘れていたのだろう。みんなが男の子を祝福しようとしたその時……。爆弾を落とす彼女。


「どこに、つきあえばいいの?」


彼女は彼に尋ねた。教室にいる人たちは、みんな凍りついたね。そういえば……、相手はあのテネだ、とでも言うように早速みんな動けなくなった。



どこまでテネ()は空気が読めないのか。ほら、いろいろと納得しはじめた人たちが、彼が気の毒だ、というような感じで目をそらしているではないか。君はどこまで……、呆れるばかりだよ。男の子は、そんなテネちゃんに負けずに説明する。


「えっと、僕は僕と付き合ってほしいって、テネさんに告白しているんだよ。」


困り顔で話す彼。しかし、テネちゃんには、ハテナマークが飛び交っている。


「それは、もう分かってるよーー。」


そのようなことを言い出す彼女だが、私たちは思っていた。いや、君は全然分かっていないんだ、とね。さらに、彼は彼女に向かっていう。


「僕と深い仲になってほしい」


それに対して、彼女の反応は、下記のもの。


「深い仲? 親友ってこと? 第一の親友はいるから、第二の親友の位なら空いてるよー。」


話の流れからして、普通に違うわ。しかも、第一の親友、第二の親友ってなんだよ。親友に第一も第二もあるか。後に、そのようにテネちゃんの幼馴染のクウちゃんは語った。他にも、親しい友達だから、親友って言うんだわ、と述べた。男の子の反応はというと……。



はっきり、バッサリと言ってしまうが、やはり、困っている。彼は口から言葉を零す。


「えぇっと……。」


うん、テネのペースに巻き込まれて頰が引きつっているよ。それほどまでに、付き合うという言葉の意味が通じていないことに圧倒されてしまっているのだろう。テネちゃんにに告白した勇気は素晴らしいものだが、もう少し頑丈な精神力というものを身につけておかないと、彼女とはまともに付き合えないと思われる。結局、テネちゃんのペースに飲まれている彼。


「じゃあ、今日からテネの親友ね!」


彼女は笑顔で彼に言い放った。



その後、クウ()の元にやってきたテネ。そして、彼女に告白した男の子がいる前で大きな声で話し始める。


「テネとつきあってほしいからどこにつきあってほしいのか聞いたのにさぁーー。結局のところ、テネと親友になりたいってことだったみたい。そうなりたいなら、最初から親友になりたいって言ってくれればいいのにーー。恥ずかしがり屋さんなのね。……、もしかして! テネって人気モノ!!」


どこからどうつながってあんたが人気者になったのか。たしかに、人気者って言えなくもないが、あんたが思う人気者とはわけが違う。それより、私は彼が哀れすぎて泣けてくるよ。ほら、彼の方を見て見なよ。あなたのせいで肩を落としているし、クラスのみんなからは哀れにも苦笑い等をいただいているではないか。また、他の男の子に肩をポンっと軽く叩かれている。彼が勇気を持って行動した結果が、テネの中では恥ずかしがり屋な第二の親友で終わることになるなんて……。誰が、想像できたのか。テネ自身が知らずに、人の心意気を潰すことはよくあることだが……、今回はまったくもって洒落にならない。いつも笑ってテネに巻き込まれたことを流せるわけではないが、今回は本当に笑えないのだ。むしろ、彼はよく頑張った。彼には、こんな奴を相手にして、と申したいくらいだ。目の前でニコニコと首を左右に揺らして、ご機嫌になっているテネに頭が痛くなる。あんたは、なんでそんなに呑気でいられるのか、私は不思議でならない。




あれから数分後、テネが変なことを言いはじめた。


「ふふっ、テネに友達が増えたーー。嬉しい! でも、一番の親友兼幼馴染はクウちゃんだからねーー。」


おまけにギューっと抱きしめられる。しかし、そんな不名誉な称号はいらない。むしろ、地の底に叩きつけてから燃やしたいくらいのものだ。私はテネに締め付けられながら、男の子がトボトボと教室を去っていく姿を見ていた。きっと、他の人も君のこれからの人生に幸あれ、と思っていることだろう。……てか、さっさと離せ。あんたのハグなんかいらないわ。私がテネに絞め殺される前に、彼女を殴るのは、後、三、二、一……。教室に、テネの叫び声が響く。



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