パート1
真冬の寒い中……、マフラーもつけずに歩くクウちゃん。どうやら、アイスクリーム屋さんに向かっているようだ。なぜ、分かるのかって? 超能力や読心術は持ってないよ。分かった理由は簡単。テネちゃんが大きな声でアイスクリーム屋さんに行くことを話しているからだよ。他の二人は、悲壮感がただよっているけどね。この出来事が起きてしまったのは、ある人、仮にAさんとする。その子が発言したことによって起こってしまったことだ。
昼休み。クウちゃんとその友達のAさんは話していた。
「なんか、冬でも冷たいものって食べたくなるよねー。」
この後、Aさんのその一言がある意味で不幸な未来を引き寄せるとは知らずに……、彼女は軽く発言したのだ。それに返事するのはクウちゃん。
「うん、食べたくなる。でも……。」
「流石に、今日は寒過ぎるからね。」
二人は頷きあった。きっと、冷たいものは食べたくなるが、今日は寒いのではなく、とても寒いので冷たいものを食べるのには適していないということで頷きあったのだろう。しかし、それだけで話は終わらなかった。乱入者、テネちゃんが現れる。名案でも思いついたというような笑顔で元気よく言葉を発した。
「じゃあじゃあ、アイス食べに行こうよ!」
ニコニコと邪気ない笑みを浮かべている。そんな彼女とは正反対な表情をしているのはAさんとクウちゃんだ。二人の心はこの時、シンクロしていた。どこから、話を聞いていたのか、と。二人は必死に言い募る。
「いやいや、今日はとっても寒いでしょう? 冬の中でも一番寒い気温になっているってテレビで言ってたし……。」
「そうだよ。寒くて凍え死ぬって感じの中だし……。」
「えっ! でも、冷たいものが食べたいって言ってた!! 行くべきだよーー。それに、いいお店知ってるの。室内は寒くないし……。ということで、決まりね! じゃあ、放課後にアイスクリーム食べに行こうね!!」
Aさん、クウちゃん、テネちゃんの順に言葉を述べた。
「ちょっ!!」
そして、テネちゃんを止めようとしたクウちゃんだったが、テネちゃんは言うだけ言って、さっさとどこかへ行ってしまった。クウちゃんが伸ばした手は空を切った。Aさんはその隣でため息を吐いている。
「今日は、アイスを食べる気分じゃないわ!」
悲壮感のただよう姿。遠い目。Aさんは、その日誓う。
「私、もう不要なことを言わないようにする。」
テネちゃんが近くにいる中で、意に沿わないことを発言しないと……。結局、それは叶わない願いであったが……、この話は時間がある時にでもしよう。
放課後。テネちゃんがおススメしているアイスクリーム屋さんに向かった。実際のところ、クレープ屋さんであったが、一応アイスクリームもトッピングとして使用しているために単体でも買えるようにはなっているみたいだ。今日に限っては、アイスクリームを買っていったものは少ないようだが……。小さいお店なので、机と椅子の数も少ない。店内で食べることができるスペースが少なく、すでに満席となっていた。見えてきた未来に気が遠くなる。結局、私たちは3人で仲良く外でアイスを食べた。持ち帰って家で食べようと思ったが、近くの公園で食べようと言い出したテネちゃん。たまたまマフラーを忘れてしまったクウちゃんは、ガタガタと震えていたし、断る。また、Aさんもこんな寒い中で、アイスは食べたくないと言った。しかし、テネちゃんにそんなことは通用しない。
「放課後、アイス食べようって言ったでしょう! それに、冷たいものを食べたいって言ってたのは二人じゃん!!」
二人はその言葉に絶望に打ちひしがれる。そして、二人の心は再び通じ合っていた。
(人の話をしっかり聞いて、空気読みなさいよ。この迷惑娘!)
最終的に、テネちゃんを説得できず、どうしようもなくなり、三人で仲良く……。仲良くなのかはわからないが、心が折れている二人と笑顔で嬉しそうな一人で公園にてアイスを食べました。そのせいで、次の日に私たちは風邪を引いた。テネちゃんが、次の日もピンピンしていたのが憎たらしかったよ。あの子は元からおかしいから、比べることも馬鹿らしくなるけどね。
ある話、テネちゃんは何をしても風邪をひかないと言われている。冬に水の中に入りたくなったからと、突然制服姿でプールに入り出した。先生に叱られるも、まったくもって気にしない。寒いとガタガタと震えて、鼻水も出ていた。また、唇も青かった。それは、冬に水の中に入っていった人の反応としては当たり前のことだろう。しかしながら、その後も何度か水に浸かっては寒いと叫んでいた。普通、そんなことをした次の日には風邪を引くだろう。だが、テネちゃんは次の日、どうだったと思いますか。とてつもなくテンションが高く、元気溌剌に過ごしていました。これぞ、まさにテネちゃんの脅威の体の不思議のこと。学校の七不思議の一つ。それに、テネちゃんが入ってしまっている。
恨み言をあげるとすると、真冬の中で長時間外にいて、アイスクリームの打撃は辛いものである。あの後、アイスを食べたのみでは終わらず、テネの話を聞くことになって長い時間外にいることになってしまった。彼女は、鼻歌を披露し、上機嫌に歩き回っていた。それに対して、私たちは、目が虚であったといえよう。アイスクリームの話は、テネの前では夏に限る。アイスを食べている途中で雪が降ってきていたことを追加情報としてのせておく。
「あー、寒かった……。」
そのように、しみじみとしてしまう。私は、雪が何も知らずにはらはらと降りてくることがとてつもなく恨めしかった。