おつきさまと、夜の静けさの中で
夜がこわいひとに、
読んでもらいたい、
つぶやきのような作品です。
夜は決まって怖くなる。
明日が来る不安。
寝て、また、朝に目が覚めてしまうという恐怖のようなもの。
願わくは、ずっとずっと、深い眠りから目覚めることがありませんようにと、そう、毎夜思っては叶わないことは知っているけれど。
朝になれば、日が変われば、また、同じことの繰り返し。
笑いたくなくても笑顔を造り、
話をしたくなくても楽しそうに話をし、
……もう、そんなことにも慣れてきたけれど。
おつきさま、の、やさしいあかりが好きで。
夜の静寂の中、夜空を見上げると、昼間の主張してくるような太陽の日差しじゃなくて、月はひそやかな、こっそりとしたあかりを濃紺の空にぽつんと浮かべている。
きっと明日になれば、また造り笑いをして、楽しくもない話を楽しそうに聞いて、ふだんと変わらない、変われない自分がいる。
だけど、おつきさまも、また宵闇をほんのりと照らしてくれる。
おやすみなさい、
おつきさま。
拙い作品を読んでいただいてありがとうございました。
このおはなしを読んで、
ほんの少しだけでも夜の孤独が軽減されることを願っています。