表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

白の王

 貴方の悔やむ顔が見える。貴方の泣き顔が見える。貴方は王たる者だからか、その矜持から、叫ぶことはしなかったが、その唇が、何度も何度も私の名を象っているのは容易に読み取れた。

 泣かないで、友よ。いつか死ぬことは人に定められたこと。永久不変の事実だ。命ある者は必ず死ぬ。その定めは死神たる貴方の方がよくご存知でしょう?

 私の命数尽きたのが、今であるだけです。




 なんて、理屈を並べても、涙ある貴方は納得しないでしょうね。本当に、優しい人だ。

 貴方はきっと、私は死すべき存在ではない、自分の方が消えるべきなんだ……と、自らを責め苛んでいることでしょう。

 それは違います。私はそう断言できます。

 貴方は涙を持つ、優しいヒトだ。譬、世界の死神で、世界中に嫌われていても、私だけは貴方が優しいことを知っている。だから、貴方を許します。

 だから、自分を責めないで。


 視界が暗く閉ざされていく。いよいよ貴方がもう見えない。声も遠くなってきた。私は、もう……死ぬのか。

 ではせめて最期に貴方を苛まないように心からの別れの一言を告げよう。

 と思ったら、声も上手く出やしない。




 伝わっただろうか。






「さよなら、愛しい人」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ