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さよなら
ネタメモです
例えば、唐突に別れが訪れたとして。
遺された方は故人を思い嘆く。何故死んでしまったの、と泣き叫ぶことであろう。
病気、自殺、他殺……死因は様々あるだろう。無機質に綴られるそれはきっと納得のいくものたり得ないにちがいない。けれど、その者とて、望んで死したわけではないのだ。
やりきれないであろう、誰よりも僕の、私の、俺の、死を悼んでくれる、愛しい愛しいあなたへ。心の中で、届くことのない手紙をしたためよう。
あなたにはもう届かない。触れる指先、伝える声ももう私にはない。
言葉で書き記す暇もなく、生というのは呆気なく終わりを告げるものだから。
せめて、愛しい愛しいあなたにだけは、さよならの言葉を叫んでおきたい。それくらい、許されてもいいじゃないか。
──そんなあらゆる最期の言葉の物語。




