エリザベート・バートリーの拷問室
「う……ここは」
私が意識を取り戻した時、私が寝かされていたのは清潔な病室のような真っ白な部屋のベッドでした。
「ここは、どこでしょう」
私が周りを見渡しているとドアから一人の男性が入ってきました。
その男性は背の低い壮年の白髪の男性で執事服のようなスーツで身を固めています。
「どうやらお目覚めになられたようですな。
ようこそ”エリザベート・バートリー”の拷問室へ。
私は矢野、あなたの世話係をおおせつかっています。
以後お見知り置きください。」
その言葉に私はビクッと体を振るわせまし。
「拷問室って、私をどうするつもりですか?
私を拷問して殺すのですか?」
そう言えば裏野ドリームランドのドリームキャッスルの地下室は拷問室になってるって噂があったような気がしました。
私はこれから拷問されるのでしょうか?
その私に問に彼は首を横に振りました。
「いえいえ、たしかにあなたにはこれから
生き血と若さを捧げていただきますが
拷問したり、ましてや殺したりなどしたりはしませんよ。
あなたは大事な若い処女の生血の提供者に
なっていただくのですから。
血液検査の結果でも循環器系の疾病も見当たりませんでしたし
健康診断の電子カルテに於いても特に所見はありませんでした。
アレルギーなどもないようですし実に理想的な若い健康な女性の血液でしたよ」
彼はにやりと笑いながら私にそう言いました。
「そ、そんなの嫌です」
男性はふうとため息をついていったのです。
「嫌ですと言われてもこちらも困ります。
そもそもあなた達は、臓器や生き血の提供者として
今日まで育てられて来たのですからね」
そう言われた私には言葉の意味がわかりませんでした。
「そ、それはどういう意味……?」
彼はメガネをクイと掛けなおして説明します。
「言葉そのままの意味ですよ。
このA市は本来で晴ればとっくに
財政が破綻していてもおかしくなりません。
そのために行っている交付金の支払いを行う代わりに
移植に必要な臓器や治療に使う生き血の提供者を
育ててもらっているわけですよ。
いわばこの市は臓器牧場のようなものです。
そして市の交付金を出しているのは
裏野ドリームランドや病院、ホテルなどを経営している
財閥なのですよ。
腎臓病や白血病などの子どもを持った親など
子供用の臓器や骨髄、
若い処女の生血をほしいと思う人は
全国にたくさんいますからね。
ですからここから逃げ出そうなどと考えても無駄ですよ。
今頃あなたの家族には”連絡”がもう入っているはずですから
捜索願なども出されないでしょう」
「そ、そんなぁ……」
私は目の前が真っ暗になりました。
私のいままでの生活は幻想だったのでしょうか。
父母に愛されている平凡な日々と思っていたのは私の勘違いだったのでしょうか。
それに……。
「綾ちゃんたちは今どこにいるのですか?」
やれやれと彼は首を振りながら言います。
「残念なのですが非処女非童貞の血では若返りの効果はないのですよ。
ですから彼らは適合する臓器移植を待つ方々に
臓器を提供する事になりますな」
「それって……」
「彼ら彼女らは生きている必要はないということですね。
とは言え臓器移植には新鮮な臓器が必要ですから
すぐさま殺すようなことはしませんでしょうけど」
「そんな、綾ちゃん……」
私は綾ちゃんたちが無事でいてくれることを祈ることしかできませんでした。
「ああ、念のため、言っておきますがあなたが
この病室から出た瞬間監視カメラで分かりますし
そのチョーカーが締まって窒息します。
無理に外そうとしても窒息しますので
余計なことは考えないことです。
まあ、今日のところは患者さんもいませんので
そちらの奥にあるバスルームで汗を流すことですね」
彼はそう言って部屋から出ていきました。
私はベッドから降りて、ドアの前に行き、ドアを開いて確かめてみましたが、確かに部屋の奥にはバスルームが在るようです。
「これは悪い夢?
それとも……」
私にはこれが現実なのか悪い夢なのかわかりませんでした。