私の血で助かる生命があるならばそれもいいのかもしれません
その後、白血病の娘さんとの血液の交換輸血も週に2回ずつ一ヶ月の間続きました。
そして、最終的に娘さんは白血病は完治して造血機能は正常になり、見違えるほど元気になったのです。
その様子を見てお母さんは涙をこぼして喜んでいました。
「ああ、一時はもう助からないと思っていましたけど
娘がこんなに元気になるなんて。
マリア様、本当にありがとうございました」
そして娘さんもにぱっと笑って私に頭をペコリと下げたのです。
「おねーちゃん、本当にありがとう。
おねーちゃんのおかげで私元気になれたの。
これからはみんなと一緒に遊べるよ」
私は無邪気に笑う娘さんの頭をなでてあげました。
「うん、良かったね」
そして母娘は部屋を出ていったのです。
おそらくもう二度と来ることもないのでしょう。
「みんなと一緒に遊べる……ですか」
その機会は私にはもう二度と無いのでしょう。
陽の光に当たることもできないのでしょう。
そしてまた私の部屋に世話係の人がやってきたのです。
「お疲れ様でした。
体の調子はいかがでしょうか?」
事務的な質問に私は答えます。
「今回は痛みは殆どなかったから
特に調子が悪いことはありませんけど
私もたまには日の光を浴びたいです」
彼は首を振ります。
「いえいえ、日光にあたると肌の老化が促進されますので
それは許可できません。
あなたには老化されては困りますからな。
日に当たらずとも必要な栄養はちゃんと
管理していますので
身体の健康の維持には問題はありませんよ」
私は苦笑してしまいました。
「陽の光に当たらなければ老化しない。
まるで吸血鬼のようですね。
血を取られているのは私の方なのに」
彼はフフと笑いました。
「まあ、そうかもしれません。
細胞の老化の原因は細胞が破壊されることが主な原因です。
酸化した物質の摂取
炭化した物質の摂取
糖化した物質の摂取
乾燥
菲薄化
化学物質の吸入
光老化
ストレスによるコレチゾールの放出
テロメアの長さなどがありますが
そういった原因の殆どは食物と大気に
ついて注意すれば細胞の老化を遅らせることが
できますからね」
それを聞いて私は首を傾げました。
「なら、それを若返りを望むの人たちに
やってあげればいいのではないでしょうか」
彼は笑って言います。
「はは、それは無理ですよ。
金や名誉を持つ立場の人達というのは
常に過大なストレスに
さらされていますからね。
長寿の記録を持つ人達が金持ちではなくごく
普通の一般市民なのもそれが理由ですよ」
「そういうものなのですか……」
「そういうものなのですよ。
だからこそそういった人たちは
ストレス無く生きている
若い他人の持つ若さを奪うことで
若返りたいと思うわけですよ。
まあ、最終的にはあまり意味は無いと思いますが」
一体この人は何を考えているのでしょう?。
「名誉や権力と若さというものは
両立しえないということですよ。
それがわかっていても
醜く悪あがきをする人間を
はるかな昔から
私はたくさん見てきました。
そして、あなたもこれから私達と同じように
見ていくことになりますね。
ようこそ夜の帳へ」
「私は一体何になるのですか?」
「醜く権力にしがみつく者たちの観察者……ですかな。
まあたまには若い命を助けることもありましょう」
そんなものになることを私は望んでなどいないのですが……。
こうなることが私の運命だったのでしょうか。




