健康を求める人 ある親子の場合
あの後、声優さんは来なくなりました。
おそらく声に関して十分に若返ったというのもあるのでしょうし、この施設へ払える費用の問題などもあるのでしょう。
それに外見が若返りすぎても不自然に思われるでしょうしね。
「世の中には美魔女と呼ばれる人たちもいましたけどね……」
私に関しての外見の方もミストサウに入ったり運動して汗をかいたり、食事を取って十分睡眠をとることで顔に現れていた皺の方は消えました。
「ふう、顔の皺、なんとかなくなって良かったです」
そんな感じにのんびり過ごしていた私のもとに、次にやってきたのは5歳位の幼い娘さんを抱えた若い女性でした。
「あなたがマリア様ですか?」
「え、あ、はい、多分そうです……」
なぜ私は様付けされて呼ばれているのでしょう?。
女性は悲痛な表情で私に懇願をしてきたのです。
「お願いです、どうか娘を助けてください」
「娘さんは?」
「白血病なのです。
このままだと余命半年と言われました。
だからどうか、助けて……ください」
ああ、そういうことですか……。
白血病の治療に私の血を。
娘さんは愛されているのですね。
「わかりました、
でも助かるかどうかは
ご本人次第でもありますよ」
恐る恐ると言った感じで、小さな娘さんが私に声をかけてきます。
「わたし、たすかるの?」
私は娘さんにうなずきます。
「たぶん、ですけどね」
たぶん不安だったのでしょう、女の子はお母さんに抱きついていったのです。
「わたし、たすかるんだって。
だから、ままもしんぱいしないで」
「うん、私も祈ってるから頑張って」
「うん」
そして部屋の中にテキパキと医療用ベッドや輸血のために必要な設備が運び込まれたのです。
その後、前と同じように私と彼女の血液型を詳細にダブルチェックを行い、生理食塩水法による交差適合試も行ったあと、オゾンクレンジングと放射線による白血球の除去を施した血液をお互いに輸血し合うのです。
「く、痛い……」
やはり私の体は全身が重くなり、痛みが走ります。
やはりに関節に痛みが集中している気がします。
やがて相互輸血は終わりました。
私はぐったりして体を動かすこともできません。
逆に娘さんは悪かった顔色が良くなってるようです
「まま、とっても体が軽いよ」
それをみてお母さんは涙ぐんでいるようでした。
「マリア様、本当にありがとうございます。
最近は元気のなかった娘がこんなに元気になるなんて」
そう言って二人は抱き合っていました。
そして部屋を出て行く様子を私は眺めていました。
「羨ましいな……わたしもお母さんたちに
あんな風に愛してほしかったな……」
両親が私をどう思っていたかはもはやわかりませんが……。




