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新たな二刀流

バーリンソンとロンジの死体場所から600メートル離れた草の茂みにいるジョーとアラッドモナーはバーリンソンとロンジとの通信が途絶した事に不安を覚えていた。

その事を晋三とミノツナ、バルトハウザーとべナルロッドにも相談して彼らが既にやられたと想定して行動を取るべきだと待ちの指示を晋三から受ける。

600メートル離れた所にいる朝倉だが何者かが見張っている事に気づいていた。気流の動きで2人の人間が遠くにいる事は朝倉には分かっている。だが、迷っていた。

奴らの討伐部隊の全貌がつかめないため動くに動けなかった。罠かもしれない。そう考えると朝倉は動かなかった。どうせ何人来ても大丈夫だとタカをくくっていたのだ。

その頃のべナルロッドは朝倉の能力値のだいたいを歩きながら予測していた。車はもう降りていた。

「バーリンソンとロンジは一緒に行動していたはずだ。念を押していたからな。しかし敗れた。ということは」

「二刀流・・・か?」

バルトハウザーが応じる。べナルロッドは頷いた。

「二刀流だと2人同時にかかっても難しいと思う。二刀流にゃあ最低4人ぐらいはいると思うし」

「べナルロッドよ。お前の予想が正しかったとして俺たちはどうすれば良い?」

「まだ6人いる。6人全員でいけば流石に朝倉も倒せる。ジョーとアラッドモナーがやられてない事を祈るしかないな」

場面変わってアラッドモナーとジョー。晋三とミノツナが合流。遅れて10分後にバルトハウザーとべナルロッドも到着。一斉に飛びかかる作戦が行われようとしていた。

「朝倉に動きは?」

着いた早々ミノツナが尋ねてきた。ミノツナは38歳の神経質そうな細身の男。試作体の中では良識派とされていてべナルロッドやバルトハウザーらと親交もある。

「特にない。ずっとあの岩陰にとどまってる」

アラッドモナーが500メートル先の指差した大岩。そこに朝倉らしき人影が見えた。

「4人でも充分じゃないか?俺の無敵の近距離ヨーヨーなら奴を完璧に仕留められるぜ」

アラッドモナーが自信ありげに言う。アラッドモナーのヨーヨーは特殊な特性こそなく射程距離は極端に短いが、パワーとスピード等ヨーヨーの基本性能を極端に高めてある。

「待つんじゃアラッドモナー。戦いは万全を期すべきじゃ。今はべナルロッドとバルトハウザーを待つんじゃ。あの2人は特に強力な試作体だと研究所で聞いた事がある」

「晋三さん。この俺では勝てないと?」

「お前さんを合わせたこの4人だと勝てるやもしれん。だが万全を期すと言ったであろう」

「頭の固い老人め。俺も研究所ではべナルロッドとバルトハウザーに次ぐ好成績を残していたと耳にしたことがある」

「本当かねぇ」

ビッグ・ジョーが猜疑の目を向ける。

「安心しろ。この俺がこの戦いにこの今、終止符をうってやる!!」

「おぉい・・・そんな大声だしたら奴に気づk」

そうジョーが忠告しようとした瞬間だった。アラッドモナーの足元の土が空中に吹き上がり、アラッドモナーの体に切れ目が入ったかと思うとアラッドモナーはバラバラになっていた。

「奴だ!朝倉がヨーヨーで穴を掘って直接アラッドモナーを攻撃したんだ!声を出していたからここまで正確な位置を攻撃したのだ!」

そして残された3人は知らなかった。朝倉は同時に2本うてるのだ。

「チャンスだ!この間隙を縫って朝倉にヨーヨーを叩き込むのだ!」

ビッグ・ジョーがとっさにそう判断して朝倉の隠れる岩陰まで走った。ヨーヨーが戻るまでにタイムラグが生ずる。その時の朝倉は完全無防備!

「終わりだ!朝倉!!」

ジョーの直径2メートルもある超巨大ヨーヨーを出現させ投げる瞬間!ジョーも既に肉塊になっていた。

「馬鹿な!晋三さん見ました!?今の!」

「あぁ・・・朝倉の奴は二刀流のようじゃの」

「あの裏切り者め。この手で幾人もの同士を不意打ちで倒してきたのだ・・・!」

「射程距離もかなりのようじゃの。この所の連戦で成長したのか元々か分からぬが」

「そのようで」

「ミノツナ。お主はこの事実を本部に伝えるんじゃ。早く行け」

「なっ・・・何をおっしゃるのです。晋三さん」

「もうすぐ朝倉が来る。ここはお主が一旦退いてべナルロッドや田中達に伝えるのじゃ」

「・・・分かりました。必ずお帰りになってください。それでは・・・」

ミノツナは後ろを振り返らずひたすら置いてきた車まで走った。晋三が戻ってくる可能性は限りなく少ないがここは晋三の言うとおりにするしかない。

朝倉の前に晋三は立ちはだかった。距離はおよそ300メートル。朝倉のヨーヨーなら余裕で到達する距離。だが朝倉は攻撃してこない。向かい合っての戦いだと晋三の能力を警戒してのことか。

「お前も世界の支配するとかいう寝言を言っているのか?」

「今はまだ試作体段階だが、完成体になれば全人類を掌握することも難しい事じゃなくなる。人には強力な指導者が必要なのじゃ。この時代だからこそな」

「全くまともな奴は試作体にはいないのかねぇ」

「まともじゃないのはお主だけじゃ」

朝倉が先に動いた。ヨーヨーを一発放って晋三に攻撃した。晋三は紙一重で自分のヨーヨーで弾く。

それを確認した朝倉はすかさず2つ目のヨーヨーで晋三を攻撃。

勝敗は早々に決した・・・と思った朝倉だった。今回は違った。

朝倉の2つ目のヨーヨーも弾かれたのである。

「なんてこった。お前も二刀流だったのか」

晋三もヨーヨーを2つ使えたのである。

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