炎の研究所
灼熱の炎が研究所を包み込み、視界が炎で覆われた。
その炎の中で試作体13番の朝倉は爆破によって全身血まみれになって横たわっていた。
この研究所では紛争地域で実戦配備される予定の改造人間の製造実験が行われていた。現在までに試作体は15体まで製造されており、最終的なチェックの後に実戦投入される予定だった。
しかしその最終チェックが終わるな否や試作体は一斉に武力蜂起に乗り出して、研究所は焼き払われてしまった。一切の証拠を消すつもりであろう。
「奴はどこだ・・・!」
「探し出せ・・!まだすぐ近くにいるはずだ・・・!」
試作体達は朝倉を探していた。試作体の中で朝倉だけは武力蜂起に最後まで反対しており、他の研究所職員と共に闇に葬り去られようとしていた。
試作体は回復能力や他の人間の機能を最大限に高めているので、今は血まみれでもじっとしていればすぐに回復できる。が、見つかるのは時間の問題か。
朝倉は力を振り絞って能力を発動させた。
能力で穴を掘って地面の中に逃れるんだ。奴らから今は逃げないと死んでしまう。
奴らはそれぞれの能力を使って悪事をはたらくに違いない。元々こうするために自ら試作体になったのだろう。紛争地域の事なんてどうでも良いのだろう。俺だって紛争地域の事よりも金が貰えるから試作体になったのだが、少なくとも試作体になったからにはそれなりの義理は果たすつもりだった。
奴らに対抗出来るのは同じ試作体である俺だけだ。
奴らを止めるために朝倉は戦う事を決意した。穴の中で。