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various world tripper  作者: とりまる
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目的と思惑


 

 

 身体が重い。ここはどこだ。

 

 最近おれはぶっ倒れすぎだと思う。

 この一年間でおそらく人生分はぶっ倒れたと思う。

 

 まあそんなことはどうでもいいが、誰かの家だろうか、ゆっくり起き上がる。

 

 「ダメだよ、まだ起きちゃ。」

 

 声の主はおれの後ろにいた。おれと同じぐらいの女の子。

 

 スラッとした身体にふくよかな胸、髪は腰までは行かないが、長い。

 さらには顔まで美形だ。

 

 「・・・なに?ジロジロと」

 

 「あっ、す、すいません、助けて貰ったのですか?」

 

 「お爺様が連れて来たので、私は反対したんですけどね。」

 

 あれ、おれ嫌われてるじゃん。

 

 「申し訳ないです。すぐにここをでます、お爺様は、どちらに?」

 

 「多分、酒場」

 

 「そうですか、お世話になりました。」

 

 「まだダメだよ、回復しきってない。」

 

 「いえ、おれはまだやることがあるので」

 

 「そう、なら別にいいけど」

 

 「お礼はまたいつかします。」

 

 そういって酒場へ向かった。

 


 

 まだ朝だからだろうか、人はかなり少ない。

 少なくとも入ったときのあの何とも言えないような感覚はなかった。

 

 

 「おや、もう大丈夫なのかい?」

 

 マスターが心配そうに言った。おそらくこの人に助けてもらったのだろう。

 

 「はい、昨日は、どうもありがとうございました。お礼の方は、今手持ちがないので、いつか。」

 

 「お礼なんて、いらないよ、君が大丈夫なら、それでいい。」

 

 神か、この人は。

 

 「いえ、そんなことは、なんでもお申し付けください。」

 

 「・・・そうだねえ、そこまで言ってくれるなら・・・」

 

 といって、マスターは、話してくれた。

 

 

 実はマスターはこのギーファ村の村長であり。

 依頼として、一つ頼み事があるという。

 

 その内容は、

 ここから東に行くと、森がある。"侵悪の森"と、呼ばれる所だ。

 ある理由でそこの森の番人(ボス)

 双濁の鎧騎士、通称:バッドツインズ

 そのレムとニムを倒して、奥にあるペンダントをとってきて欲しい、という。

 

 

 もちろん行かない理由はない。

 しかも+αで報酬までつくそうだ、一応断ったのだが、そんなこと言わずに、と押し負けてしまった。

 

 「しかし君はなにも持っていないけど、どこからきたんだい?」

 

 「ブブリアルです。」

 

 

 ざわっ、と酒場がざわめいた。

 

 

 「君、ブブリアルから来たのかい?あそこはたしか、先日、地図から消滅したと聞く、生き残りも、0だと。」

 

 そんなに大事になっていたのか、

 いや、大事にならないはずはないか、あれだけ大きい街が一瞬で更地になったとなると、ある種の戦争みたいなものだ。

 

 「いえ、僕もブブリアルの近くでキャンプをしていて、帰ってみると何も無かったのです。」

 

 まずい、と思いとっさに嘘をついたが、バレるか?

 

 「そうか、それは残念だったなあ。ええと、アルシャ君」

 

 うむ、まずいな、本名を出すのはやめておこう。

 

「アルシャ?」

 

 「アルシャ=ジェリアス、君の名前だろう?」

 

 「え、はい、そうです!」

 

 「頭でも打ったかいな、ま、よろしく頼むよ。」

 

 

 ふと後ろを向くと周りの目線が急に変わっていた。

 

 これは疑いの目だ。こいつには何かある。そんな目をしている。

 酒場にいても、冒険者という身なりでわかる。こいつらは相当の手練だ。

 

 「まあ、とりあえず、明日にでもその侵悪の森に出発します。」

 

 「カッカッカッ、ぼっちゃんにゃあ、無理だ。あそこは攻略難度Bだ、素人はおろか、おれたちでも危うい。」

 

 「いえ、無理かどうかより、義理が先です。」

 

 「そうかい、なら止めやせん。」

 

 

 

 「ちょっとまって!」

 

 剣幕のような声が酒場に鳴り響いた。

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