ひとり
ふと目を覚ますと、あたり一体なにも無くなっていた。
街も、人も、何もかも、なにもない。
何があったか、それは自分が一番覚えている。あれから何時間経ったのだろうか。いや、何日か?
まさか、自分にあのような力が備わっているとは夢にも思わない。
一人だ、また一人、孤独。この世で一番嫌いなものだ。
一人は好きだが孤独は違う。
こんな所で一人死ぬのは絶対にありえない。
しかしこれから一体何をすればいいんだ、ここにいたって一人なだけだ、まずは行動だ。
「そういえばヴァンは他の世界から来ていたと言っていたな、もしかすると、他にもちがう世界からやってきたやつがいるかも。」
決まった。おれはやる時はやるのだとりあえず近くの町まで歩こう。
たしか北に有名な街があるって聞いたことがあるな。
何もしないより、それがいい。
そうしておれは旅に出ることに決めた。どうせ帰る宛もないし、帰っても居場所ないし、この世界に永住するのかなあ・・・。
なんだかんだで町についた。小さい町、ここからおれの旅ははじまる。
ここレアシオのユーグ地方は比較的魔物が出にくい地方である。故に町も多く、旅もしやすい状態、しかし一文無しの輝にすれば、それは非常なお金の枯渇の問題であった。
一年間、魔物と戦う場面も多々あった、そのために鍛えられたりもした。
しかし出ないとなれば問題外、倒せる倒せない以前に出てこないのだ。まずい、ヒジョーにまずい。
「まずは、情報収集からだな。」
こういう時は酒場ってのが常套句だろう。とすこしワクワクしながら酒場に入っていく。
しかしそれは後悔へと変わる。
酒臭い、臭すぎる、なんだこの匂いは、酒を直で臭うより臭いぞ、なんなんだ一体。
おれは入るやいなや、酒も飲まずに吐いた。
「ぼっちゃんにはまだはええや」
とゲラゲラ笑い声が聞こえる、そしてだんだん笑い声が遠くなっていった。