力の覚醒
不思議と冷静な気持ちになってる。何が起こったのか、よく分からなかった。
アニールが死んだ。
ヴァンが死んだ。
それも、一瞬で、目障りだ?それが人を殺す理由になっていいのか?
周りも見て見ぬ振りかよ、なんだ、この世界もそんなものか・・・
あの、あの世界もそうだった、自分に被害を被りたくないが為に、見て見ぬ振りをする。
同列だ、結局はやっているのと同じ。助けはない。
おれしかいない。
「おい」
声を発したのはおれだ。
多分一番驚いたのもおれだ、
しかし、その声はいつもより大きく、そして強かった。
「なんだ、貴様も殺されたいのか、落ちこぼれ無能力者。」
憎い、
憎い、
でも、怖い。
あの時と同じだ、あいつらには勝てない、でもだれも助けてくれないのなら、おれがこいつらを殺せばいい、そう、殺せばいいだけの話なのだ。ただ・・・
二度と目覚めぬよう
殺せばいいのだ。
《我名はガベルトル、禁忌の者也》
ガベルトル?
《禁断の果実、汝は口にするか?》
当たり前だろう。目の前のやつをぶち殺してやりたい。
《御意、我は汝に力を与えよう、しかし》
しかし?
《忘れるべからず、我は汝であり汝は我である》
輝の周りを黒い影が覆った
「何、こいつは無能力者じゃないのか?」
「な、なんだ?この能力は?」
「無駄なことだ・・・・・・なっ!?」
私の能力が効かない・・・だと?
こんな能力は・・・見たことない、どの国のどの戦場でも見た事ない・・・まるで・・・
<<万物を飲み込む混沌の闇>>
黒で覆われた輝の姿は正に魔神。
その力は輝では抑さえ切ることはできない。
周りのものをすべて飲み込む勢いの引力、輝を中心に暗闇空間を発生させていた。
その暗闇空間は徐々に広がり威力を増し、近くにあったものを少しずつ、じりじりとそれに吸い込まれていく。
「お前らが、お前らが悪いんだあああああああ!!!」
そんな怒号と共に、あたり一体の無機物、有機物、命あるものまで、
輝、いや魔神の体内に吸い込まれていった。
読んで下さってありがとうございます。
また二日後、宜しくお願いします。