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17.報告(2)

今回は短めです。

 事務棟内にある執事室の前へ向かうと其処には一人のメイドが立っていた。

 誰かを待っているような感じだった。

 ジョディに気づいたメイドが此方に向かってくる。


 「ああ、やっと来たわねジョディ。セバス様は戻られた旦那様の所にいるわ。旦那様の方からお話があるということで、此方に来たら学園長室まで来るようにとのことよ」


 「そう、わかったわリリー。では学園長室まで行きましょうか。アオイ君」


 「………」


 「……?」


 リリーと呼ばれたメイドはジョディより二つ年下だ。茶色のサイドテールに眼がクリッとしている。

 顔に多少のソバカスがあるが凄く愛嬌がいい人で男子使用人の中で凄く人気がある。

 そう、そして何より人気のもう一つの秘密が、

 胸がおっきい事である!

 そう、胸がおっきい!

 胸 が お っ き い !!

 (※大事なことは3回言う)


 メイド服の胸がはち切れんばかりの姿を見たら、どうするか。

 そう、男なら凝視しする。

 勇輝もダメだとわかっていながら、ついついリリーの胸を凝視してしまったのだ。

 ジョディはため息をつき、勇輝の耳を引っ張りながら歩いていく。


 「はいはい、学園長室までいくわよー」


 「いだだだだだだ! ジョディさん捻ってる捻ってる!」


 「くすっ……いってらっしゃい」


 リリーは苦笑しながら手を振るのだった。



 ◇



 学園長室までやってくると、ジョディは姿勢を正すとドアをノックする。

 その時やっと勇輝の耳は解放されたのだった。耳はもう真っ赤っかである。


 「旦那様、アオイ・ユウキを連れて参りました」


 「入りなさい」


 ドア越しから学園長の声が聞こえてくる。重厚な扉を開けると、其処には学園長と執事であるセバス、そしてセシルがいた。

 勇輝の右耳が真っ赤な事にセシルは怪訝な顔をする。


 「疲れているところをすまんな。どうしても礼が言いたいのと、聞きたいことがあってな。まずは変異種のフォレストベアーから学園生徒を守ってくれて感謝する」


 ダリル学園長はソファ型の椅子から立ち上がり、勇輝に向けて軽くお辞儀をする。

 そしてそのまま椅子に座りなおし、両手の肘を机につけて手を軽く握りながら学園長はこちら見た。

 勇輝は空気が変わったことに姿勢を正す。


 「さて、では本題に入ろう。君たちのパーティーに同行した教員から事の経緯を聞いた。君は別の世界から来たというのは本当かね」


 「はい。本当です。この世界とは別の、地球という星の日本という島国に住んでいました。仕事を終えて家に帰る途中、青く輝く石を見つけそれを拾ったら何時の間にかこの世界にいた訳です」


 「なるほど、通りで。最初に顔を合わせた時、見たこともない珍しい服を着ていると思ったよ。いやしかし、まさかねぇ……アグニの紋章とは」

 

 ダリル学園長はため息を吐く。


 「やはり、私がこのまま学園にいるのはまずいですか?」


 「………ふむ、そうだね。君はお伽話の中の一つである力を所有し、実際に王国騎士隊が苦戦した魔物にその力を使って勝利した。

 近年、魔物の被害が増えているから王国側としては君の力を欲するだろう。貴族達も君の力を求めるはずだ。権力増強としてな。この情報が他国に漏れた場合、君を狙ってくるかもしれん。

 そうなると必然的に君が在籍している学園も危険に晒される可能性が出てくるというわけだ」


 「ええ、そうでしょうね」


 「お、お父様! そんな―――」

 

 セシルは勇輝が学園から追い出されるのではないかと危惧し、話の中に割って入ろうとする。

 が、ダリル学園長は右手でセシルの発言を静止させる。

 

 「が、しかしだ。君が魔物から生徒を守ってくれたのもまた事実。暫く様子を見るとしよう」


 「お、お父様? 有難うございます!」

 

 セシルは自分のことのように喜んでいた。

 ダリル学園長は椅子の背もたれに体重を掛け、話はこれで終わりだとジェスチャーをする。

 勇輝は静かに礼をすると、セシル達と部屋を出て行った。


 バタン――――。 


 ドアが閉まる音がし、暫く経ってからダリルが口を開く。


 「セバス、私は娘に対して甘いと思うかね?」


 「はい、親バカかと」


 「ふん、言うではないか。しかし、実際に娘が色恋に目覚めると父親としては複雑な心境だな」

 

 ダリルは窓の外を眺め笑っていた。

~おまけ~

 その日の夜、勇輝は直ぐ様ベットに倒れ込んだ。

 「あー、疲れたなー………ん?」

 枕に顔をうずめると微かな女の子の甘い香りがした。

 「いや、まさかな……」

 そして視線をベットの角へと視線を向けると、そこには小さな染みができていた。

 勇輝はガバッと起き上がる。 

 

 「マ ジ カ !!!!!!!!!」

 

 その日、勇輝は悶々として眠れなかったとさ。

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