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ミドルフェイズ 情報収集(1)

【ミドルフェイズ シーン④:情報収集】


GM「はい。これから情報収集を行います。ここでは、みなさんが、どういったことを調べるのか、どういった手段を用いて調べるのかを言っていただいて、GMはそれに応じて、必要な判定値と目標値をお教えします。で、ダイスを振って判定ジャッジを行い、それが成功するかどうかを決定してもらうことになります」





 判定というのは、ダイスを振ってその行為が成功するかどうかを決定する作業である。主に行為判定と呼ばれるものだ。ナイトウィザードでは、これを“ジャッジ”と呼ぶが、意味合いとしてはまったく同じである。

 基本、このゲームではダイスを2個(2d6)振り、それに“判定値”を足した数を、“達成値”。つまり、“どれくらいの成果を出したか”を決める数値として算出する。“判定値”とは、そのジャッジに用いる能力値のことだ。例えば、大きな岩を動かすのに用いる判定値は【筋力】である。というような使い方をする。


 “目標値”というのは、文字通り、そのジャッジを成功させるのに必要な目標数値のことである。

 先ほどの大岩を動かすという行為のジャッジでいくと、例えば目標値が10。判定値である【筋力】が5の時、ダイスを振って5以上を出せば、合計値が10となり成功。4以下であれば失敗となる。


 更にここには、劇的な成功クリティカル致命的な失敗ファンブルというものが発生するのだが、詳しいことはおいおい話していくとしよう。クリティカルが発生すれば達成値が上昇し、ファンブルが発生すれば達成値が減少すると思ってもらえれば良い。





猫子「ついに初ダイスを……」

テレン「おぉー! 楽しみ!」

GM「シナリオを進める上で、どうしても必要な情報はあります。その情報が出るまで、何度も振りなおすことを許可する場合がありますが、調べなおした回数が増えるだけ、どこかで不幸なことが起こっていると思ってください」

テレン「おぉ、な、なるほど……」

GM「一回、プレイヤーの間で情報を整理したほうが良いですね。何がわかっていて、何がわかっていないのか。それを確認してから、情報収集に入りましょう」

天太郎「ふむ……」

猫子「一番怪しいのは、やっぱ“ライゾウ”って奴だにゃ」

天太郎「間違いない」





・英雷蔵について

猫子「ロンギヌスに籍を置いてるけど、黒幕っぽい。何故?」

テレン「この失踪事件と前後して、姿を消しているんだよね」

猫子「事件を調べているうちに消えたの?」

GM「そのあたりはアンゼロット様に聞けば教えてもらえるんじゃないでしょうか」

天太郎「なるほど。何月何日に消えたのかも?」

GM「ですね」

テレン「一応、アカウントユーザー“ライゾウ”と同一人物であるかという証拠も欲しいなぁー」





・トラックについて

テレン「猫子が吹っ飛ばしたトラックにも、人は乗っていなかったんだよね」

タルティエ「私が見たトラックにもいなかったわ」

GM「ちなみに、巫女子が警察のネットワークとか運輸局に問い合わせてみたけど、同じトラックは見つけられなかった」

テレン「この子そんなすごいことできんの!?」

猫子「さすが巫女子だにゃ」






・消えた人間について

テレン「他に何か見落としはないかな」

天太郎「スマホが残ってる」

猫子「そうだ。何故か蓮華だけアカウントが残ってる」

テレン「でも、蓮華のことをみんな覚えていないのは、プラーナが消えてしまっているからなんだよね?」

GM「うん、そういう風に推測はできるね」

テレン「トラックに轢かれてプラーナごと消失しているっていうアンゼロット様の話にも合致するね」

猫子「でも他の奴と違ってアカウントは残ってる」

GM「もしかしたら、このまま放っておくと蓮華のアカウントやスマホも消えてしまうかもしれないね」

天太郎「やべぇな……。いろいろ話したけどメモには何も書いてない。『天太郎、KY、ホモ』だけだ」(一同爆笑

GM「それはシナリオに何の関係もないね!」





・それぞれの目的の確認

テレン「一応、みんなの目的も確認しておこう。猫子は、信者がそれぞれ減っているから」

猫子「うん」

タルティエ「私は妹の仇を討ちたい」

天太郎「俺は幼馴染を探したい」

カスガ「読者を取り戻したい」(一同笑

GM「いやぁ、一番切実だよねぇ」

テレン「私は、事件を早く終わらせないと査定に響く」

猫子「俗物!!」






テレン「そう言えばお金は? いくら持ってるとかあるの?」

GM「おっとそうだった。お金とクリティカル値とファンブル値、普通はゲーム開始前に決めるんですが、今回は説明を兼ねてここで決めます」

テレン「お、了解」





 ここで、先ほど言った“クリティカル”と“ファンブル”についての説明をしよう。


 劇的成功であるクリティカルも、致命的失敗であるファンブルも、すべて特定の出目を出した時に発生する。そして、このナイトウィザードのゲームシステムにおいて、その出目はプレイヤーごとに異なるのだ。これが、このゲームのバランスをピーキーたらしめる部分である。

 ダイスを2個振った時、一番出やすい出目の合計値は“7”である。つまり、クリティカル値は7に近いほど良く、ファンブル値は7から遠いほど良い。だが、このゲームではそのクリティカル値とファンブル値すらランダムで決めてしまうのだ。


 プレイヤーはダイス2個を2回振り、先に出た方をクリティカル値。後に出た方をファンブル値とする。

 もちろん、多少の救済措置として【幸運】値を3で割った数値を上限として、好きなようにズラすことができる。その上限値の中でクリティカルを7に近づけ攻めの姿勢を取るか、ファンブルを7から遠ざけ安全を取るか、その決定もまた、このゲームのアツいところなのである。


 悲喜こもごものダイスロール。PCそれぞれのCF値は以下のようになった。



孫野天太郎

 クリティカル値:5 ファンブル値:10


カスガ

 クリティカル値:5 ファンブル値:4


白黒猫子

 クリティカル値:5 ファンブル値:12


タルティエ=レッドロール

 クリティカル値:3 ファンブル値:5


テレン=サン

 クリティカル値:10 ファンブル値:3



 こうして見ると、どのキャラクターのダイスに不安があって、どのキャラクターのダイスが安定しているということがよくわかるのではないだろうか。





GM「あとはお金ですねー」

天太郎「17万。学生の癖に金持ち!」

テレン「わたし16万だ」

GM「で、お金が決まったら改めて情報収集をしていきましょう! パーティ全員で方針を決めてから調べにかかるのも良いですし、完全にスタンドプレーで独自に調べるのもありです」

テレン「じゃあまずわたし、動きたい。とりあえずロンギヌスに戻りたい。簡単に戻れるの?」

GM「簡単に戻れなくもないけど……」

テレン「あ、じゃあこうする。聖職者のアイドルだから、すごい協力者が多いと思うのね。その協力者に、英雷蔵について知っていることを調べてもらうようにお願いする」

GM「雷蔵についての漠然とした情報ね」

テレン「英雷蔵はロンギヌスの仲間でした。彼のことは私に任せてください!」

GM「他に、調べておきたいことが決まってる人はいる?」

猫子「ロンギヌスの雷蔵と同一人物なのか……は、置いておいても、アカウントのほうのライゾウの所在を調べておきたいから、巫女子に調べさせる」

GM「ほいほい」

テレン「天太郎の方に、ライゾウの方からは返事はまだきてないんだよね。また別のアカウント作って、『異世界に行ってみたいんですけど』って送ってみたら?」

天太郎「じゃあ天太郎がアカウント持ってるんで、それはやっておこう。異世界忍者戦記の読者だから、条件は満たしている」

猫子「っていうか、異世界忍者戦記の読者限定で消してるの?(笑」

カスガ「それ許せんな。絶対許せんな」

タルティエ「私は、夜になったら、灰になりかけながらも命からがら群馬のログハウスに戻った舎弟たちを動員して、トラックを探させるわ」

GM「タルティエはトラックの動向を探るのね」

カスガ「じゃあこっちも部下の忍者とか動員して……」

テレン「え、でもどう言って動かすの? 『俺のお気に入りが抜けたから調査してくれ』って?」(一同笑

カスガ「そこは、『こういう事件が起こってるから協力してくれ』って正義感に訴えかける(笑」





GM「えー、では、ひとまず順番に、情報収集をやっていきますか。テレンさんから」

猫子「アイドルの人脈を使って、英雷蔵という人間について調べるんだっけ」

GM「【幸運】で難易度13かなー」

テレン「(ダイスを振って)……ダイス目が11。【幸運】が10。21」

GM「高いんだよなぁ……(笑)。えーとですねー。『英雷蔵は、任務を淡々とこなす優れたエージェントでした』」

テレン「はい」

GM「『ただ常日頃から、同僚に疑問や不満のようなものを口にしていました。ここにいる自分たちは本当の自分たちなのだろうか。正しい生き方をしているのだろうか』」

天太郎「本当の自分……」

テレン「わたしも少し気持ちはわかります」

GM「妻子持ちだったんですが、任務にかまけて、あまり家庭を顧みない部分があってですね。失踪する直前に、不幸な事故で妻と子供を亡くしています」

猫子「あら……」

テレン「事故について調べることはできる?」

GM「事故は別に、エミュレイターが起こしたものではないです。普通にイノセントが起こした事件に、イノセントの妻と娘が巻き込まれたというだけの話。疑う要素はないですね」

テレン「失踪した日付もわかる?」

GM「日付がどうというよりは。この一連の失踪事件が発生する前々日くらいかな。あと、これは達成値21も出したのでボーナス情報ですが、失踪する直前、ある埠頭で何者かと密会していたようです」

テレン「じゃあ、『ありがとうございます』って、調べてきてきてくれた人たちにお礼を言います」





GM「次はアカウントのライゾウについて。これはどういったことを調べるの?」

猫子「だいたい登録した日とか、他にお気に入りにいれてる作品があるかとかかな」

GM「じゃあ、巫女子さんに調べてもらうんですが、巫女子さんだけでも若干手が足りないので、猫子さんにも手伝ってもらいます」

猫子「まさか巫女子だけでは足りないとは!」

GM「そこには猫子さんの頭の良さも試されますので。【理知】で振ってもらいます」

猫子「【理知】高いよ。10もある!」

GM「難易度は14」

猫子「(ダイスを振って)……10! 合わせて20!」

GM「みんな高すぎだよ! で、えーと、ライゾウのアカウントですが、番号4ケタです」

テレン「超古参だ!」

GM「実在の小説投稿サイトとは関係ないけど、まぁ最低でも2万人はいたなかの4ケタだから古参だね」

猫子「他の作品のお気に入り登録はしてるの?」

GM「してる。他の作品も全部トリップ系、転生系だね」

テレン「他の作品はお気に入り減ってる?」

GM「減ってない……」

テレン「減ってないの!?(笑」

猫子「それ異世界忍者戦記だけかなり可哀想なことになるぞ!(笑」

GM「あ、ああいや。共通の読者は消えているんだけど、総合的に見ると、異世界忍者戦記の読者を狙い撃ちにして消していることがわかる」

カスガ「なんてこった……!!」

GM「でも、他のは多くても4:4なのに、異世界忍者戦記だけは評価5:5入れてます!」

猫子「感想は!?」

GM「書いてない! 完結作には『完結おめでとうございます』って書くけど、連載中の作品には書かない」

猫子「良い読者だ!」

天太郎「天太郎とは大違いだ!」

猫子「メッセージはどうなんだろ」

GM「失踪事件の直前くらいに初めてメッセージを使い始めていますが、送った相手のアカウントが軒並み消滅しているので、そこから先はわからないです」

猫子「ライゾウは、投稿サイトの古参読者だったのかにゃ……(笑」

GM「古参読み専です」





 かくして、ロンギヌスのエージェント“英雷蔵”と、謎のメッセージを送りつけてくるユーザー“ライゾウ”について、情報が続々と明らかになってきた! みんなもロールプレイに慣れてきたところで、今回はここまで。次回は、天太郎、タルティエ、カスガの情報収集になる。

 なるのだが、実はこのあと、GMが想定していなかった事態へと、物語は展開していくことになるのであった!

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