第一章
俺の名前は土御門翔。自分で言うのはなんだか天才だ。運動神経もいいし、成績も優秀。
そして、周りは馬鹿ばかり。
俺は周りの"人"に興味がなかった。だってそうだろ?そもそもの出来が違うのに何故なれ合う必要がある。
だが、俺は生徒会長を勤めている。
なぜかって?
そんなのは簡単だ。周りにやらせるより自分でした方が断然楽だからだ。
正直、俺はだいたいの事はできる。
教師達のする仕事なら説明無しにだってやり遂げることは簡単なことだ。
周りはそんな俺を優等生か何かと思っているらしい。だから、俺もそれにつきあっているだけだ。
俺にはそんな毎日が続いていた。
すべての授業が終わり、俺はいつものように生徒会室にむかった。
教室を出て職員室の前を通ると不意に後ろから呼び声がした。
「土御門、ちょっといいか?」
声の主は角屋拓三。クラス担任だ。そいつはこちらが答える前に話を進んた。
「ちょっと、この資料を特別教室に運んでくれないか?」
「はい、かまいませんよ」
嫌がったら後で面倒なので、とりあえず笑顔で引き受けた。
その後、俺は資料がたくさん入ったダンボールを持ち上げ、特別教室へ向かった。
廊下は静かで聞こえてくるのは部活動で汗を流す連中の声だけだった。
そんなやつらを何も感じずに見ながら歩いていると、気づいた時には自分は特別教室の前にいた。
「思ったより近いな」
俺はゆっくりとドアを開けた。
・・・俺はそこで人生初めての衝撃に出会った。
俺は、今まで信じたことのない運命を信じてもいいと思った。
俺は生まれて初めて・・・・恋をしたんだ。