正義ト悪~justice~
世界を救うため僕ら二人は生まれた。最初から仕組まれた人生。
戦の始まりは齢15の春。そんな中生まれたイレギュラー。
『さだめ』
戦の始まりは15の春。何百年も前からの宿命。
ぼくらはいつも二人だった。
それ以上などありえなかった。
だって巻き込むわけにはいかなかった。
辛い思いをさせるだけだから。
だけど13の春。君は突然現れた。
僕らがつくった小さい壁など
簡単にぶち壊し現れた。
世界を救うためだけだったはずの人生が、少しずつ狂い始める。
君は一瞬で僕らの世界を変えたんだ。
君に見せたあの笑顔が、僕ら二人の初めての笑い顔だった。
『戦』
そしてやってきた15の春。学校を休む日が増えていく。
誰もそれに気づかない。
僕ら二人が望んだこと。
だけど君だけは気づいてくれた。
辛い思いをさせるかもしれないけど。
心のそこでは嬉しかった。
君には心配かけるけど、
それでも気にかけていてほしい。
我がままなんて考えたこともなかったのに、
今は願いばかり増えるんだ。
君は一瞬で僕らの世界に色をくれたんだ。
白黒だった世界が、鮮やかに動き始めたんだ。
ある日仲間の一人が死んだ。
とても悲しかったけど、それ以上に怖かった。
だって昨日まで笑っていたのに・・・。
どこにも行けない思いが降り積もり、
自分が壊れそうになっていく。
降りしきる雨の中、ふと歩き出して、
自分でもどこに向かうか分からぬまま、
顔を上げると君の家。
君はずぶぬれの僕に理由も聞かず、震える僕の肩をそっと抱く。
「大丈夫だから。」
君はそう言った。
涙があふれて、止まらなくて、君は黙って傍にいてくれた。
『戦の終わり』
そして雪積もる18の冬。ついに黒幕にたどり着く。
僕らはそのときも二人だった。
だけど君が待っていてくれるから。
絶対に負けるわけにはいかなかった。
辛い思いをさせないために。
黒幕は美しい服を着た仮面の女。
歳は僕らと同じくらい?
仮面をとると、そこに居たのは君だった。
どうして僕ら出会ってしまったのだろう。
どうして君に救われてしまったのだろう。
君の冷酷な瞳が、痛いほど突き刺さる。
君がくれたあの笑顔は、僕らの幻だったの?
君は躊躇いもせず、僕らに襲いかかる。
想像以上に強かった。
歯が立たないかもしれない。
僕らが躊躇っているだけかな・・・?
辛いのは、僕らだけなのかな・・・?
君は僕らと闘うのをやめ、前を見据える。
君の優しい瞳が戻った気がした。
「じゃあね。」
君は自分に刃を突き立てる。
「どうして?」
涙があふれてくる。どうして君だったの?
あの日に帰れるのならば・・・。
きっと来世出会えたときは、ずっと一緒にいられるはず。
世界を救うため僕ら二人は生まれた。最初から仕組まれた人生。
戦の終わりは齢18の冬。それぞれの道を歩き出す。
君と居た時間を忘れずに---------。
戦記なんでしょうか・・・・・・?
短編を書いてみました。
難しいですね・・・・・・。
上のリンクから「君」視点の短編へとべます。